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理由で解く 理学療法士

QP55A008 理学療法治療学

出典:第55回理学療法士国家試験(2020)午前 問8
問題
75歳の男性。身長170cm、体重48kg、BMI 16.6。約10年前から呼吸困難が出現し自宅近くの医院で加療していた。徐々に呼吸困難感が増悪してきており、50m程度の連続歩行で呼吸困難感のため休息が必要である。動脈血ガス分析 PaO2 65Torr、PaCO2 48Torr、肺機能検査 %VC 81%、FEV1% 31%であった。患者の胸部エックス線写真を図に示す。
この患者の運動療法を中止すべき状態として最も適切なのはどれか。
図
選択肢
1 SpO2 82%
2 呼吸数22/分
3 心拍数105/分
4 修正Borg指数5
5 収縮期血圧が安静時より20mmHg上昇
解答
正解1(SpO2 82%)
解説

呼吸リハの運動中止基準の閾値を覚える。SpO2 90%以下、頻呼吸30回/分以上、脈拍120/分以上(運動中140超)、修正Borgスケール7以上、収縮期血圧の40mmHg以上上昇が代表的な中止指標。中でもSpO2 90%以下は最も基本的な指標で、82%は迷わず中止と判断する。

COPD患者に対する運動療法(呼吸リハビリテーション)を、どのバイタルサインで中止すべきかを問う問題である。判断の鍵は各項目の中止基準の閾値にある。SpO2は90%以下が運動を中止すべき低酸素血症の基準であり、選択肢1の82%はこれを大きく下回るため明確に該当する。他の選択肢は、呼吸数22/分(中止は概ね30回/分以上)、心拍数105/分(安静時120/分以上・運動中140超が目安)、修正Borg指数5(中止は7以上)、収縮期血圧20mmHg上昇(中止検討は40mmHg以上の上昇)と、いずれも中止基準の閾値に達していない。したがって最も適切なのは1のSpO2 82%である。提示された胸部X線写真は肺野の過膨張を示すCOPDの病態背景を示す文脈画像で、中止の可否はこの画像ではなくバイタルの数値で判断する。

✓ 1. 正しい
SpO2 82%
運動療法の中止基準はSpO2 90%以下であり、82%はこれを大きく下回る明らかな低酸素血症で、即座に中止すべき状態に該当する
✗ 2. 誤り
呼吸数22/分
頻呼吸として中止を要するのは概ね30回/分以上で、22/分は運動継続可能な範囲にとどまる
✗ 3. 誤り
心拍数105/分
中止の目安は安静時120/分以上、または運動中に140/分超・年齢別最大心拍数の85%超であり、105/分はこれに達しない
✗ 4. 誤り
修正Borg指数5
修正Borgスケールは7以上(『とても強い』)で中止を判断する。5は『強い』息切れで負荷の調整は要するが、中止基準には達しない
✗ 5. 誤り
収縮期血圧が安静時より20mmHg上昇
運動時に中止を検討するのは収縮期血圧が40mmHg以上上昇した場合であり、20mmHgの上昇は生理的範囲で中止に当たらない
ポイント
  • SpO2 88〜90%未満で運動中止(低酸素血症)
  • COPDは労作時低酸素をきたしやすくSpO2監視が重要
  • 修正Borg・血圧・心拍の軽度変化は継続可能
比較表
運動療法中止の主な目安
指標中止の目安
SpO288〜90%未満
自覚的運動強度修正Borg指数7〜9以上(強い息切れ)
血圧収縮期の異常上昇・運動中の低下
心拍数・不整脈過度の頻脈、危険な不整脈出現
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