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理由で解く 理学療法士

QP55A007 理学療法評価学

出典:第55回理学療法士国家試験(2020)午前 問7
問題
75歳の男性。身長170cm、体重48kg、BMI 16.6。約10年前から呼吸困難が出現し自宅近くの医院で加療していた。徐々に呼吸困難感が増悪してきており、50m程度の連続歩行で呼吸困難感のため休息が必要である。動脈血ガス分析 PaO2 65Torr、PaCO2 48Torr、肺機能検査 %VC 81%、FEV1% 31%であった。患者の胸部エックス線写真を図に示す。
予測されるフローボリューム曲線として最も適切なのはどれか。
図
選択肢
1
2
3
4
5
解答
正解5(5)
解説

%VC正常+FEV1%(1秒率)著明低下=閉塞性換気障害。フローボリューム曲線では閉塞性は呼気ピーク後に急落して下に凸となり、重症度が上がるほど凹みが強い(FEV1%31%=高度閉塞→最も凹んだ選択肢5)。拘束性は横幅の狭い相似形、上気道閉塞はピークが平坦化する箱型で鑑別する。

本症例は%VC 81%(80%以上で正常範囲)に対しFEV1%(1秒率)31%と、基準の70%を大きく下回り著明に低下している。%VCが保たれFEV1%のみ高度に低下する組み合わせは、末梢気道の閉塞により呼気が妨げられる「閉塞性換気障害」の典型で、しかも1秒率31%は高度(重度)閉塞に相当する。フローボリューム曲線では、正常は呼気ピーク後に直線的に下降する三角形を描くが、閉塞性換気障害では肺の弾性収縮力低下と気道抵抗の増大により一気に呼出できず、ピーク直後にフローが急落して下に凸(下方にえぐれた)曲線となる。重症度が上がるほど凹みは強くなるため、高度閉塞の本症例には最も凹みの強い選択肢5が対応する。鑑別として、拘束性(選択肢2)は横軸の気量が縮小した横幅の狭い相似形、上気道閉塞(選択肢4)は呼気ピークが平坦化する箱型、正常(選択肢1)・中等度閉塞(選択肢3)は本症例の重症度と合わない。以上より正答は5。なお本設問に割り当てられた画像は胸部X線正面像で、両肺の含気過多・肋骨水平化・横隔膜平坦化などCOPD/肺気腫(=閉塞性換気障害)を示唆する所見であり、閉塞性という診断方向は裏づけるが、選択肢である5種のフローボリューム曲線図そのものではない。

✗ 1. 誤り
立ち上がりが急峻でピーク後は直線的に下降する三角形状。%VC・FEV1%とも正常な健常者のパターンで、FEV1%31%の高度閉塞を示す本症例には合致しない
✗ 2. 誤り
肺活量(横軸の気量)が小さく全体が横に狭い相似形で、ピークフローは保たれ下に凸にならない。間質性肺炎などのパターンで、%VC81%(ほぼ正常)の本症例には合致しない
✗ 3. 誤り
ピーク後にやや下に凸となるが凹みは軽度。FEV1%31%という著明な高度閉塞ほど強い落ち込みはなく、重症度が一致しない
✗ 4. 誤り
呼気ピークが平坦化(プラトー)し呼気フローが頭打ちになる箱型。気管狭窄など中枢気道の病変を示し、末梢気道障害であるCOPD(本症例)とは病態が異なる
✓ 5. 正しい
重度(高度)の閉塞性換気障害:呼気ピーク後に急激にフローが落ち込み大きく下に凸(scooped out)となる曲線。肺弾性収縮力の低下と末梢気道抵抗の増大を反映し、FEV1%31%・%VC81%の高度な閉塞性パターンに最も合致
ポイント
  • %VC正常+FEV1%低下=閉塞性換気障害
  • 閉塞性のフローボリューム曲線は呼出後半が下に凸(scooped)
  • ピークフロー低下、拘束性は相似形に縮小
比較表
換気障害とフローボリューム曲線
%VCFEV1%曲線の特徴
閉塞性正常低下(<70%)呼出後半が下に凸
拘束性低下(<80%)正常相似形に縮小
混合性低下低下両者の特徴
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