学習トップ理由で解く 理学療法士第11章 ▸ 実地 / QP54A008

理由で解く 理学療法士

QP54A008 理学療法評価学

出典:第54回理学療法士国家試験(2019)午前 問8
問題
3歳の男児。脳性麻痺による右片麻痺。背臥位から図のように起き上がる。影響する反射はどれか。
選択肢
1 Moro反射
2 Galant反射
3 緊張性迷路反射
4 交差性伸展反射
5 非対称性緊張性頸反射
解答
正解5(非対称性緊張性頸反射)
解説

頭部を回旋させながら起き上がる際、顔を向けた側の上下肢が伸展し後頭側が屈曲するパターンは、残存した非対称性緊張性頸反射(ATNR)の影響である。

非対称性緊張性頸反射(ATNR)は、頭部を一側に回旋すると顔を向けた側の上下肢が伸展し、後頭側の上下肢が屈曲する原始反射で、生後4〜6か月頃までに統合される。脳性麻痺では統合が遅れて残存し、随意運動を妨げる。背臥位から起き上がる動作では頭部を回旋・前屈させるため、ATNRが残存していると顔向き側の上肢が伸展して起き上がりパターンに強く影響する。したがって正答は5『非対称性緊張性頸反射』。緊張性迷路反射(TLR)は頭位(背臥位で伸展優位)に依存する反射で回旋の要素は含まず、Moro反射は落下・驚愕刺激、Galant反射は脊柱側方刺激、交差性伸展反射は下肢の侵害刺激に対する反射で、頭部回旋を伴う起き上がりの左右非対称パターンを最もよく説明するのはATNRである。

✗ 1. 誤り
Moro反射
頭部の落下様刺激で上肢が外転・伸展後に抱え込む反射で、起き上がりパターンとは無関係
✗ 2. 誤り
Galant反射
脊柱の側方をこすると体幹が刺激側へ側屈する反射
✗ 3. 誤り
緊張性迷路反射
頭位に依存(背臥位で伸展優位)し頸部回旋の非対称は説明しない
✗ 4. 誤り
交差性伸展反射
一側下肢への侵害刺激で対側下肢が伸展する反射
✓ 5. 正しい
非対称性緊張性頸反射
頸部回旋で顔向き側伸展・後頭側屈曲を生じ起き上がりに影響
ポイント
  • ATNR=頸部回旋で顔向き側伸展・後頭側屈曲
  • 脳性麻痺では原始反射が統合されず残存
  • 起き上がりの頭部回旋がATNRを誘発
比較表
主な原始反射と誘発刺激
反射誘発刺激と反応
ATNR頸部回旋→顔向き側伸展・後頭側屈曲
緊張性迷路反射頭位(背臥位で伸展、腹臥位で屈曲)
Moro反射落下様刺激→上肢外転伸展後に抱え込む
Galant反射脊柱側方刺激→同側へ体幹側屈
交差性伸展反射一側下肢侵害刺激→対側下肢伸展
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