学習トップ理由で解く 理学療法士第11章 ▸ 実地 / QP54A007

理由で解く 理学療法士

QP54A007 理学療法評価学

出典:第54回理学療法士国家試験(2019)午前 問7
問題
正中神経を手首と肘部で電気刺激した運動神経伝導検査の波形を示す。この運動神経伝導検査から考えられる病態はどれか。ただし、手首と肘部の刺激部位間の距離は175mmである。(正常範囲:振幅3.5mV以上、運動神経伝導速度48m/s以上)
図
選択肢
1 運動ニューロン変性
2 軸索変性
3 神経筋接合部異常
4 正常
5 脱髄
解答
正解5(脱髄)
解説

振幅が保たれたまま伝導速度が落ちるのは脱髄、振幅そのものが落ちるのは軸索障害である。本例は振幅正常・伝導速度35m/sなので脱髄と判断する。

図のCMAPは、手首刺激で潜時5.9ms・振幅11.5mV、肘部刺激で潜時10.9ms・振幅9.2mVである。運動神経伝導速度は刺激部位間の距離175mmを潜時差10.9−5.9=5.0msで割って求め、175mm÷5.0ms=35m/sとなる。正常範囲は48m/s以上なので、明らかな伝導速度の低下である。一方で振幅は11.5mV・9.2mVといずれも正常範囲の3.5mV以上を大きく上回っており、働いている運動軸索の数は保たれていると読める。遠位潜時5.9msの延長も加わり、髄鞘が傷んで跳躍伝導が乱れる脱髄の典型的なパターンに一致する。軸索変性であれば振幅が3.5mV未満へ低下し、伝導速度は比較的保たれるはずで、この波形とは合わない。神経筋接合部の異常は単発刺激の伝導検査では捉えられず、反復刺激試験で漸減現象などをみる必要がある。したがって考えられる病態は脱髄であり、正答は5である。

✗ 1. 誤り
運動ニューロン変性
運動ニューロンの障害では振幅が低下する。振幅正常で伝導速度だけ低い本例と合わない
✗ 2. 誤り
軸索変性
軸索変性なら振幅が3.5mV未満に低下する。11.5mV・9.2mVと保たれており該当しない
✗ 3. 誤り
神経筋接合部異常
神経筋接合部の異常は反復刺激試験で評価する。単発刺激の本検査では判定できない
✗ 4. 誤り
正常
伝導速度35m/sは48m/s未満で、遠位潜時5.9msも延長しており正常とはいえない
✓ 5. 正しい
脱髄
振幅は3.5mV以上と保たれる一方、伝導速度35m/sと遅延しており髄鞘障害の典型像
ポイント
  • 伝導速度=刺激間距離÷潜時差
  • 脱髄=速度低下・潜時延長・時間的分散、振幅は比較的保持
  • 軸索変性=振幅低下主体、速度は保たれる
比較表
運動神経伝導検査の異常パターン
病態伝導速度CMAP振幅
脱髄低下(<48m/s)比較的保持
軸索変性比較的保持低下
正常48m/s以上5mV以上
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