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理由で解く 理学療法士

QP53P002 理学療法評価学

出典:第53回理学療法士国家試験(2018)午後 問2
問題
20歳の男性。自転車エルゴメーターを用いて、1分間に20ワット増加させるランプ負荷法にて心肺運動負荷試験を行った。その際の分時換気量、二酸化炭素排泄量および酸素摂取量の変化を図に示す。①から③までの期間および④と⑤の時点に生じている生体の変化として正しいのはどれか。2つ選べ。
図
選択肢
1 ①では動脈血酸素分圧が上昇する。
2 ②では乳酸が増加する。
3 ③では動脈血pHが急激に上昇する。
4 ④では無酸素性のATP産生が加わる。
5 ⑤では動脈血酸素飽和度が低下し始める。
解答
正解2(②では乳酸が増加する。)、4(④では無酸素性のATP産生が加わる。)
解説

嫌気性代謝閾値(AT)を超えると好気的ATP供給が需要に追いつかず、解糖系による無酸素性ATP産生が加わって乳酸が増加する。健常者では運動でSaO2は低下しない。

ランプ負荷CPXでは、運動初期は有酸素代謝が主体だが、嫌気性代謝閾値(AT)を超えると酸素供給が需要に追いつかず、解糖系による無酸素性(嫌気性)ATP産生が加わって乳酸が増加する。増えた乳酸(H+)は重炭酸で緩衝されて余分なCO2を産生するため、二酸化炭素排泄量(VCO2)が酸素摂取量(VO2)より急に増え始める(V-slope法によるAT判定の根拠)。さらに高強度では乳酸性アシドーシスを代償して換気が過剰に増大する(呼吸性代償点)。したがって血中pHは上昇ではなく低下する。健常者では最大運動時でも動脈血酸素飽和度は保たれる。

✗ 1. 誤り
①では動脈血酸素分圧が上昇する。
運動初期のPaO2はほぼ一定で上昇しない
✓ 2. 正しい
②では乳酸が増加する。
AT到達により無酸素性代謝が加わり乳酸が増える
✗ 3. 誤り
③では動脈血pHが急激に上昇する。
乳酸性アシドーシスによりpHはむしろ低下する
✓ 4. 正しい
④では無酸素性のATP産生が加わる。
AT以降、解糖系による嫌気性ATP産生が加わる
✗ 5. 誤り
⑤では動脈血酸素飽和度が低下し始める。
健常者では運動負荷でSaO2は低下しない
ポイント
  • AT超で乳酸増加・嫌気性(無酸素性)ATP産生が加わる
  • V-slope法:VCO2がVO2を上回る変曲点=AT
  • 運動でpHは低下(アシドーシス)、健常者はSaO2低下しない
比較表
AT(嫌気性代謝閾値)を境にした変化
項目AT以下AT以上
主なエネルギー供給有酸素代謝中心有酸素+嫌気性(解糖系)
血中乳酸ほぼ一定増加
VCO2とVO2並行して増加VCO2がVO2より急増
血中pH維持低下(代謝性アシドーシス)
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