学習トップ理由で解く 理学療法士第12章 ▸ 実地 / QP53A020

理由で解く 理学療法士

QP53A020 理学療法治療学

出典:第53回理学療法士国家試験(2018)午前 問20
問題
生後4か月の乳児。健診で股関節の異常を指摘された。来院時に右股関節の開排制限を認めたため、股関節のエックス線単純検査を行った。この患児の股関節のエックス線単純写真を図に示す。行うべき対応として適切なのはどれか。
図
選択肢
1 経過観察
2 ギプス固定
3 観血的整復術
4 オーバーヘッド牽引
5 リーメンビューゲル装具
解答
正解5(リーメンビューゲル装具)
解説

発育性股関節形成不全(DDH)の治療は段階的:①乳児期初期はリーメンビューゲル装具で開排位を保持して整復(~生後6か月頃が好適)→②整復不十分ならオーバーヘッド牽引→③それでも整復されなければ観血的整復術。強固なギプス固定(Lorenz法)は大腿骨頭壊死のリスクで避ける。X線指標は臼蓋角の増大(正常20~25°、30°以上で臼蓋形成不全)とShenton線の破綻・大腿骨骨幹端の上外方偏位。

生後4か月・健診で指摘された右股関節の開排制限と、X線単純写真での右股関節の所見(臼蓋角の増大=右約45°/左約25°、Shenton〈シェントン〉線・Calvé線の破綻、大腿骨近位骨幹端の上外方偏位)から、発育性股関節形成不全(DDH/先天性股関節脱臼)と診断される。大腿骨頭骨核はまだ化骨しておらず、生後4か月として矛盾しない。乳児期DDHの初期治療は、股関節を屈曲・開排位に保持して自然整復を促すリーメンビューゲル装具(Pavlik harness)が第一選択で、概ね生後6か月頃までに用いると整復が得られやすい。したがって本児にまず行うべき対応は5である。保存的に整復が得られない場合は、オーバーヘッド牽引→観血的整復術と段階的に進む。経過観察は新生児期~軽症の対応で本例では治療の遅れを招き不適切、強固なギプス固定(Lorenz法)は大腿骨頭壊死の危険があり用いない。

✗ 1. 誤り
経過観察
DDH(発育性股関節形成不全/先天性股関節脱臼)は無治療で放置しても自然整復されず、遺残性亜脱臼から将来の変形性股関節症を招く。健診で開排制限を指摘されX線で脱臼を確認した生後4か月では治療介入が必要で不適切
✗ 2. 誤り
ギプス固定
股関節は皮下脂肪が多く強固な固定が難しく、かつLorenz法のような強固固定は関節軟骨・大腿骨頭への血流を阻害し骨頭壊死を招くため、乳児DDHの初期治療には用いない
✗ 3. 誤り
観血的整復術
装具などの保存的整復が奏効しない場合に行う後段階の治療であり、生後4か月の初期治療としては時期尚早
✗ 4. 誤り
オーバーヘッド牽引
リーメンビューゲル装具で整復が得られない場合に次段階として行う牽引療法(約6週間)で、第一選択ではない
✓ 5. 正しい
リーメンビューゲル装具
股関節を屈曲・外転(開排)位に保持して自然整復を促す装具で、概ね生後6か月頃までの乳児DDHの第一選択。生後4か月の本児にまず行うべき対応
ポイント
  • 6か月未満DDHの第一選択=リーメンビューゲル装具
  • 屈曲外転位で自動運動しながら整復
  • 経過観察は不適(臼蓋形成不全が進む)
  • 牽引・観血的整復は装具無効例・高月齢で検討
比較表
発育性股関節形成不全の治療(月齢別の目安)
時期・状況主な対応
6か月未満リーメンビューゲル装具
装具無効・6か月以降牽引→徒手整復・ギプス固定
保存的整復不能観血的整復術
軽度の臼蓋形成不全のみ経過観察・開排位保持指導
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