学習トップ理由で解く 理学療法士第12章 ▸ 実地 / QP52P017

理由で解く 理学療法士

QP52P017 理学療法治療学

出典:第52回理学療法士国家試験(2017)午後 問17
問題
20歳の女性。1か月前に転倒し、疼痛は軽減したが膝関節の不安定感があり来院した。
他に損傷がなかった場合、優先すべき治療はどれか。
選択肢
1 安静固定
2 水中歩行練習
3 大腿四頭筋の強化
4 超音波療法
5 ハムストリングスの強化
解答
正解3(大腿四頭筋の強化)
解説

後十字靱帯の単独損傷は保存療法が基本である。脛骨の後方動揺を動的に抑える大腿四頭筋の強化が最優先となる。

前問より本例は後十字靱帯(PCL)の単独損傷で、受傷から1か月が経ち、疼痛は軽減したが不安定感が残る時期である。PCL単独損傷は他の靱帯や半月板の損傷を伴わなければ保存療法が第一選択となる。大腿四頭筋は膝伸展時に膝蓋腱を介して脛骨を前方へ引くため、PCLが担っていた脛骨の後方制動を動的に肩代わりできる。したがってこの時期の治療の中心は大腿四頭筋の強化である。逆にハムストリングスは脛骨を後方へ引く作用をもち、損傷したPCLへの負荷を増すので、優先して強化するものではない。安静固定は疼痛が軽減している本例では関節拘縮と筋萎縮を招くだけで不利である。超音波療法は疼痛の緩和や組織修復の補助にとどまり、水中歩行練習は荷重量の調整には有用でも後方動揺そのものへの対策にはならない。以上より優先すべき治療は大腿四頭筋の強化である。

✗ 1. 誤り
安静固定
疼痛が軽減した時期の固定は関節拘縮と筋萎縮を招き、優先されない
✗ 2. 誤り
水中歩行練習
荷重量の調整には有用だが、後方動揺を抑える直接の手段ではない
✓ 3. 正しい
大腿四頭筋の強化
脛骨を前方へ引いて後方動揺を制動する。PCL損傷の保存療法の中心となる
✗ 4. 誤り
超音波療法
疼痛緩和や組織修復の補助にとどまり、機能的な安定化の主役ではない
✗ 5. 誤り
ハムストリングスの強化
脛骨を後方へ引き、損傷した後十字靱帯への負荷を増すため優先しない
ポイント
  • PCL単独損傷は保存療法が基本
  • 大腿四頭筋強化で脛骨後方動揺を制動(前方引き)
  • ハムストリングス強化は後方動揺を助長し不適
比較表
十字靱帯損傷と強化すべき筋
損傷靱帯脛骨の動揺優先強化筋
後十字靱帯(PCL)後方動揺大腿四頭筋
前十字靱帯(ACL)前方動揺ハムストリングス
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