学習トップ理由で解く 理学療法士第12章 ▸ 実地 / QP52P012

理由で解く 理学療法士

QP52P012 理学療法治療学

出典:第52回理学療法士国家試験(2017)午後 問12
問題
58歳の男性。歩行時のふらつきを訴えて受診した。歩隔はやや広いが左右方向は安定しており、前後方向への振り子様の歩容がみられる。検査結果を表に示す。協調運動改善のための理学療法として適切なのはどれか。〈検査所見:注視方向性眼振あり、構音障害あり、鼻指鼻試験測定異常あり、関節位置覚障害なし、Romberg徴候なし〉
図
選択肢
1 自転車エルゴメーターによるペダリング運動
2 rhythmic stabilization
3 下肢筋群の持続的伸張
4 Frenkel体操
5 Epley法
解答
正解2(rhythmic stabilization)
解説

運動失調は「小脳性か深部感覚(脊髄後索)性か」をまず鑑別する。眼振・構音障害・測定異常があり、深部感覚障害なし・Romberg陰性なら小脳性。小脳性協調運動障害には同時収縮を促すrhythmic stabilization(PNF)が適し、視覚代償を用いるFrenkel体操は深部感覚性失調向けで眼振を伴う小脳性には不適。Epley法はBPPV治療で混同しない。

検査所見(注視方向性眼振・構音障害・鼻指鼻試験の測定異常)に加え、関節位置覚障害なし・Romberg徴候なし、歩隔がやや広く前後方向へ振り子様に揺れる歩容から、本症例は深部感覚性(脊髄性)ではなく小脳性の協調運動障害と判断できる。眼振を伴う協調運動障害は小脳・前庭系の障害で生じ、深部感覚が保たれRomberg陰性である点が小脳性の特徴である。小脳性運動失調では体幹・四肢の同時収縮(co-contraction)による安定化が有効であり、動筋と拮抗筋の交互の等尺性収縮を繰り返すPNFのrhythmic stabilizationが協調性改善に適する。したがって公式正答[2]が正しい。他肢は、1と3が協調性改善を主目的としない運動(持久力・伸張)、4は脊髄後索性失調向けで視覚代償を用いるため眼振のある小脳性には不向き、5はBPPVの治療で本病態と無関係である。

✗ 1. 誤り
自転車エルゴメーターによるペダリング運動
全身持久力の評価・トレーニング手段であり、協調運動そのものの改善効果は乏しい
✓ 2. 正しい
rhythmic stabilization
PNFの手技で、動筋・拮抗筋の交互の等尺性収縮により関節固定筋群の同時収縮(co-contraction)を促し、体幹・四肢を安定させる。小脳性協調運動障害に有効で本症例に適する
✗ 3. 誤り
下肢筋群の持続的伸張
痙縮・拘縮への対応が主目的で、協調運動改善効果は乏しい
✗ 4. 誤り
Frenkel体操
主に脊髄後索性(深部感覚性)運動失調が対象で、視覚による代償を利用する。本例は深部感覚障害なし・Romberg陰性で小脳性であり、かつ注視方向性眼振があるため視覚代償が使いにくく適さない
✗ 5. 誤り
Epley法
良性発作性頭位めまい症(BPPV)の耳石置換法であり、協調運動障害の治療とは無関係
ポイント
  • 小脳性失調=眼振・構音障害・測定異常、位置覚正常・Romberg陰性
  • rhythmic stabilizationは共収縮を促し協調性・安定性を改善
  • Frenkel体操は視覚代償による感覚性(脊髄性)失調向け
比較表
運動失調の鑑別と理学療法
特徴所見代表的アプローチ
小脳性眼振・構音障害・測定異常、位置覚正常、Romberg陰性rhythmic stabilization、重錘負荷、弾性緊縛帯
感覚(脊髄)性位置覚障害、Romberg陽性、視覚代償で改善Frenkel体操、視覚フィードバック
前庭性回転性めまい、頭位性眼振前庭リハ、Epley法(BPPV)
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 理学療法士
App Store入手