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理由で解く 理学療法士

QP52P013 理学療法治療学

出典:第52回理学療法士国家試験(2017)午後 問13
問題
65歳の男性。被殻出血による右片麻痺。発症後2か月。意識レベル、認知機能および左下肢の機能に問題はない。右足関節の位置覚障害がみられる。起居動作は自立し、座位は安定している。現在、平行棒内での歩行練習中である。歩行中、右下肢の振り出しは可能であるが、踵接地がみられず、右下肢立脚中期に膝折れを認める。Brunnstrom法ステージ右下肢III、右下腿三頭筋のMAS〈modified Ashworth scale〉は2である。歩行に用いる最も適切な装具はどれか。
図
選択肢
1 1
2 2
3 3
4 4
5 5
解答
正解3(3)
解説

強い底屈痙縮と足関節位置覚障害があり、立脚中期に膝折れを認める例である。足継手の制動角度を調整できる両側金属支柱付き短下肢装具が最適となる。

右下腿三頭筋のMAS 2は底屈筋の痙縮が強いことを示し、踵接地がみられないのは尖足傾向のあらわれである。一方、立脚中期の膝折れは下腿が前へ倒れすぎて膝屈曲モーメントが大きくなるために起こる。したがって装具には、底屈を止めて尖足を防ぐことと、背屈を制限して下腿の前傾を抑え膝伸展モーメントを作ることの両方が求められる。図3の両側金属支柱付き短下肢装具は足継手で底屈と背屈の制動角度をそれぞれ設定でき、金属支柱の剛性で強い痙縮にも対抗できるため、この二つの要求を同時に満たせる。さらに下腿を全周性に覆わないので、足関節の位置覚が低下した本例でも装着部の皮膚感覚が保たれ、装具内で下肢がずれても気づきやすい。プラスチック製の短下肢装具は軽量だが、装着後の角度の再調整が難しく、強い痙縮ではたわんで制動が破綻しやすい。長下肢装具は膝継手で膝を直接固定できるものの、本例の膝折れは足関節の制御で対応でき、Brunnstrom法ステージIIIで平行棒内歩行が進んでいる段階には固定が過剰である。以上より最も適切な装具は3である。

✗ 1. 誤り
1
支柱が細く1本のみの軽量型。たわみやすく強い底屈痙縮を止めきれない
✗ 2. 誤り
2
足部まで覆う樹脂製。装着後の角度調整ができず痙縮の制御に不十分
✓ 3. 正しい
3
両側金属支柱付き短下肢装具。足継手で底屈・背屈を別々に制動でき本例に最適
✗ 4. 誤り
4
長下肢装具。膝を固定するが足関節の制御で足りる本例には固定が過剰
✗ 5. 誤り
5
継手付きだが樹脂製で剛性に乏しく、密着型は位置覚障害の例に不利
ポイント
  • 痙縮性の内反尖足+膝折れには支持性の高いAFOを選ぶ
  • 金属支柱付き短下肢装具は底屈制動で尖足防止・膝折れ抑制
  • 足関節位置覚障害・痙縮が強い例では剛性のある装具が有利
比較表
片麻痺歩行に用いる下肢装具の特徴
装具適応・特徴
両側金属支柱付き短下肢装具底屈制動で尖足防止、剛性が高く膝折れ・痙縮に対応
プラスチック短下肢装具軽量・軽度〜中等度の下垂足向け、制動力は劣る
長下肢装具重度の膝折れ・支持性低下例で膝も制御
オルトップ等たわみ型軽度下垂足の背屈補助、痙縮強い例には不向き
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