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理由で解く 理学療法士

QP52P009 理学療法評価学

出典:第52回理学療法士国家試験(2017)午後 問9
問題
60歳の男性。右利き。脳梗塞を発症し、回復期リハビリテーション病棟に入院中である。食事時に右手でスプーンの柄を握りこんでしまい、うまくスプーン操作ができず、介助が必要になることが多いが、少しずつ食事動作が円滑にできる場面が増えてきている。頭部MRIを図に示す。この食事動作の病態として考えられるのはどれか。
図
選択肢
1 観念失行
2 視覚性失認
3 運動維持困難
4 右上肢運動麻痺
5 右上肢深部覚障害
解答
正解1(観念失行)
解説

右利き患者の右手での道具操作障害+MRIで患者左(優位)半球頭頂葉の病変=観念失行。

頭部MRI軸位断で、患者の左半球(画像右側、下部表示の「左」側)後方の側頭頭頂葉領域に、対側と比べて明瞭な高信号病変を認める。右利きの患者では左半球が言語・行為(praxis)の優位半球であり、優位半球頭頂葉の障害では「観念失行」など行為の障害が生じる。設問の『右手でスプーンの柄を握り込んでしまい操作できない/介助が必要だが少しずつ円滑になる場面が増える』という所見は、麻痺(把持自体は可能)や深部覚障害(感覚性運動失調)ではなく、物品操作に関わる行為の障害=失行として説明でき、左半球優位半球の病変を示す本画像と整合する。視覚性失認は後頭側頭葉病変、運動維持困難は非優位(右)半球病変が主で、いずれも病変側性・臨床像と合わない。

✓ 1. 正しい
観念失行
右利き(=左半球優位)患者で、図は患者の左半球(画像右側)後方=頭頂葉近傍に高信号病変を示す。優位半球頭頂葉の障害で道具の使用に関わる行為が障害され、スプーンを握り込んで操作できない病態と一致する
✗ 2. 誤り
視覚性失認
視覚認知の障害で後頭側頭葉(両側または右優位)病変で生じる。図の病変主座や『握り込んで操作できない』という運動遂行の障害像とは合致しない
✗ 3. 誤り
運動維持困難
一定の姿勢・運動を保てない症状で右(非優位)半球病変に多い。図の病変は患者左半球であり側性が合わない
✗ 4. 誤り
右上肢運動麻痺
一次運動野・皮質脊髄路の障害で生じる。図の高信号は運動野中心ではなく、臨床上スプーンを把持でき動作が円滑になる場面が増えていることから、麻痺を主病態とするのは不適
✗ 5. 誤り
右上肢深部覚障害
頭頂葉感覚野障害で生じ得るが、症状は握り込んで操作できない道具使用障害であり、深部覚障害による感覚性運動失調の像とは異なる
ポイント
  • 観念失行=道具・物品の使用や動作系列の障害
  • 右利きでは左(優位)半球頭頂葉病変で失行が出現
  • 麻痺・感覚障害では説明できない“行為の障害”を見抜く
比較表
選択肢の病態の特徴
病態特徴
観念失行道具の使用・動作系列の障害(道具の使い方を誤る)
視覚性失認見た物を視覚的に認知できない
運動維持困難一定の姿勢・動作を持続できない
運動麻痺随意的な筋力低下・脱力
深部覚障害位置覚障害による感覚性運動失調
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