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理由で解く 理学療法士

QP52A021 基礎理学療法学

出典:第52回理学療法士国家試験(2017)午前 問21
問題
中枢神経障害の回復機序に関するアンマスキング(unmasking)の説明として適切なのはどれか。
選択肢
1 神経損傷で抑制シナプスが活動しなくなったために機能が発現する。
2 脱神経のために受容体抗体ができ興奮性を高める。
3 神経線維が脱神経領域に伸びてシナプス形成する。
4 損傷部位より下位の組織が再編成されて機能する。
5 軸索切断後、近位部から神経線維が再生する。
解答
正解1(神経損傷で抑制シナプスが活動しなくなったために機能が発現する。)
解説

アンマスキング(unmasking)とは、普段は抑制されて“隠れていた”潜在的シナプス経路が、抑制の解除により顕在化して機能を代償する機序。

中枢神経系には、正常時には強い抑制のもとに機能していない潜在シナプス(latent synapse)が存在する。損傷により主経路や抑制性入力が失われると、これまで抑制されて表に出なかった経路の抑制が外れ(マスクが外れる=unmasking)、残存回路が機能を代償する。数時間〜数日で生じうる比較的早期の回復機序で、シナプスの新生を伴わない点が側芽形成や再生と異なる。よって選択肢1が該当する。

✓ 1. 正しい
神経損傷で抑制シナプスが活動しなくなったために機能が発現する。
抑制が外れて潜在シナプスが機能を発現する=まさにアンマスキングの説明
✗ 2. 誤り
脱神経のために受容体抗体ができ興奮性を高める。
脱神経後に受容体が増加・過敏化するのは脱神経過敏(denervation supersensitivity)で別機序
✗ 3. 誤り
神経線維が脱神経領域に伸びてシナプス形成する。
健常軸索が脱神経領域へ枝を伸ばしシナプスを作るのは側芽形成(collateral sprouting)
✗ 4. 誤り
損傷部位より下位の組織が再編成されて機能する。
残存組織の再編成・機能代行は再組織化(reorganization/vicariation)で、抑制解除とは別概念
✗ 5. 誤り
軸索切断後、近位部から神経線維が再生する。
軸索切断後に近位断端から線維が伸びるのは神経再生(regeneration)で主に末梢神経の機序
ポイント
  • アンマスキング=抑制が解除され潜在シナプスが顕在化
  • シナプス新生を伴わず早期に生じる
  • 側芽形成・脱神経過敏・再生とは区別する
比較表
中枢神経障害後の回復機序
機序内容
アンマスキング抑制解除で潜在シナプスが機能発現(早期)
側芽形成健常軸索が脱神経部へ側枝を伸ばしシナプス形成
脱神経過敏脱神経後の受容体増加で興奮性亢進
再組織化残存皮質・組織の機能再編成による代償
神経再生軸索断端からの線維再生(主に末梢神経)
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