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理由で解く 看護師国試

Q115P119 看護の統合と実践

出典:第115回看護師国家試験(2026)午後 問119
問題
大型の台風が直撃するという予報を受けて、午前9時、病院では災害対策本部が立ち上がった。また、病院の所在する市から避難所への看護師派遣の要請を受け、対応することになった。
この台風による大雨の影響で、大規模な土砂災害が発生した。病院から派遣されて避難所内を巡回していた看護師は、元気がないCさん(66歳、女性)のことが気になり、毎日声をかけていた。発災3日目、Cさんは避難所内を巡回していた看護師を呼び止めて話をした。Cさんは、土砂災害があったときに娘と自宅にいたが、Cさんが先に屋外に避難したことを悔やんでいた。「娘の行方がまだ分からない。静かになると、あのときのことを思い出して涙が止まらなくなる」と悲しんでいる。このときの看護師のCさんへの対応で適切なのはどれか。
選択肢
1 睡眠と食事の状況を聞く。
2 娘のことを早く忘れるよう促す。
3 待っていれば娘は見つかると励ます。
4 気分転換をするために近所の友人と新しいことを始めるよう提案する。
解答
正解1(睡眠と食事の状況を聞く。)
解説

災害急性期のこころのケアの基本は、悲嘆を否定せず受け止めながら、睡眠・食事など基本的な生活と心身の状態を確認すること(サイコロジカル・ファーストエイドの考え方)。

Cさんは娘の安否不明という状況で自責感を伴う強い悲嘆反応を示しており、発災3日目の急性期にある。この時期の支援はサイコロジカル・ファーストエイド〈PFA〉の考え方に基づき、無理に感情を引き出したり悲嘆を否定したりせず、安全・安心と基本的ニーズ(睡眠・食事・休息)を確保し、心身の状態をアセスメントすることが基本となる。「静かになると思い出して涙が止まらない」という訴えからは不眠や食欲低下が生じている可能性が高く、睡眠と食事の状況を尋ねることは、健康状態の把握と必要な支援(医療につなぐ判断を含む)の起点として適切である。忘却の強要や根拠のない保証、時期尚早な気分転換の提案は、悲嘆の否定や非現実的な期待づけとなり不適切である。

✓ 1. 正しい
睡眠と食事の状況を聞く。
急性期の心のケアの基本である基本的ニーズと心身状態の確認にあたり、悲嘆反応が心身へ及ぼす影響をアセスメントできる
✗ 2. 誤り
娘のことを早く忘れるよう促す。
悲嘆の否定であり、自然な悲嘆のプロセスを妨げ、Cさんの気持ちを傷つける
✗ 3. 誤り
待っていれば娘は見つかると励ます。
結果を保証できない安易な励ましであり、事実と異なった場合にかえって深い傷つきを招く
✗ 4. 誤り
気分転換をするために近所の友人と新しいことを始めるよう提案する。
気分転換をするために近所の友人と新しいことを始めるよう提案する:安否不明の急性期に気分転換や新しい活動を促すのは時期尚早で、悲しみの軽視と受け取られる
ポイント
  • 災害急性期の心理支援はサイコロジカル・ファーストエイド〈PFA〉:安全・安心・基本的ニーズの確保が基本
  • 悲嘆反応は否定せず、そばに寄り添い傾聴する
  • 睡眠・食事の確認は心身のアセスメントと支援の入り口
  • 安易な励まし・保証・忘却の強要・無理な感情の掘り起こし(デブリーフィング)は行わない
比較表
災害急性期の悲嘆への対応の適否
対応評価・理由
睡眠・食事など生活状況の確認適切:基本的ニーズと心身状態の把握〈PFA〉
傾聴・寄り添い適切:悲嘆を否定せず受け止める
忘れるよう促す不適切:悲嘆の否定
「必ず見つかる」と励ます不適切:保証できない安易な励まし
新しい活動の提案不適切:急性期には時期尚早
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