
この図の解説
図は3種類の心筋の膜電位を比べたものである。左上の固有心筋(普通の心筋)は、-90mVで平らに伸びる静止電位をもち、外から刺激が来て初めて一気に立ち上がる。これに対し、下段の洞房結節とプルキンエ線維の波形を見てほしい。谷の底で止まらず、時間とともに電位がじわじわと右上がりに上昇し、自動的に閾値へ達して活動電位を発火している。この「静止電位をもたず、自然に閾値に達する」性質が自動能であり、これをもつ特殊心筋が刺激伝導系をつくる。波形の傾きに注目すると、洞房結節は立ち上がりの間隔が詰まって60〜80拍/分と最も速く、プルキンエ線維は間隔が広く30〜40拍/分と遅い。下段の帯にある洞房結節→房室結節→ヒス束→左脚・右脚→プルキンエ線維の順で、上位ほど発火が速いため、通常は最速の洞房結節がペースメーカー(歩調とり)となり、下位はそのリズムに従って興奮する。
学習の要点
- 特殊心筋は静止電位をもたず、電位が自然に上昇して閾値に達し活動電位を発火する。この性質を自動能という。
- 覚え方のコツ: 波形が「谷で止まる=固有心筋(受け身)」「谷から坂を上る=特殊心筋(自発)」。坂の急さ=発火の速さ。
- 関連知識: 特殊心筋線維は一般の心筋線維より太く細胞質に富むが筋原線維は少なく、収縮より興奮伝導に働く。神経ではなく心筋である。
- よくある間違い: 自動能をもつのは特殊心筋であり、固有心筋(作業心筋)ではない。刺激伝導系を「神経」と誤解しないこと。
- 臨床応用: 洞房結節が働かなくても下位が独自に発火でき(補充調律)、逆に下位が勝手に興奮すると期外収縮、房室束が遮断されると房室ブロックが起こる。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
特殊心筋のうち発火頻度が最も高く、心臓全体のリズムを決める歩調とり(ペースメーカー)として働くのは( )である。
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答え: 洞房結節
何らかの理由で洞房結節以外の刺激伝導系が独自に興奮し始め、本来のリズム以外に余計な収縮が起こることを( )という。
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答え: 期外収縮
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。