
この図の解説
この図は、脂質が口から入って小腸で吸収されるまでの流れを、粒の大きさの変化とともに追う図である。まず左上の大きな「脂肪滴」に注目する。トリグリセリド(中性脂肪)は水に溶けないため、そのままでは大きな塊になり、脂肪を分解する酵素リパーゼが表面にしか触れられない。そこで胆汁酸が働き、脂肪滴を1〜2µmの小さな粒に分ける。これが乳化である。次に中央の断面図を見る。乳化した脂肪滴の表面で膵液中のリパーゼが作用し、トリグリセリドを脂肪酸とモノグリセリドに分解する。これらは胆汁酸に包まれて20〜50nmのごく小さなミセルをつくる。図の右下では、ミセルが小腸粘膜の表面で開裂し、脂肪酸・モノグリセリド・コレステロールが細胞膜の脂質二重層を通り抜ける。吸収上皮細胞の中でトリグリセリドが再合成され、コレステロールも加わってカイロミクロンとなり、中心リンパ管に入る。大きさが「脂肪滴→乳化(µm)→ミセル(nm)」と段階的に小さくなる点が図の要である。
学習の要点
- 脂質の消化・吸収は「乳化→分解(リパーゼ)→ミセル形成→吸収→再合成(カイロミクロン)→リンパ管」の順で進む。
- 覚え方のコツ: 大きさは脂肪滴>乳化した脂肪滴(1〜2µm)>ミセル(20〜50nm)。µmからnmへと1000分の1のオーダーで小さくなる。
- 関連知識: 胆汁は肝臓でつくられ胆嚢に蓄えられる。脂肪の多い食事で十二指腸からコレシストキニンが出ると胆嚢が収縮し、胆汁が十二指腸に放出される。
- よくある間違い: 胆汁酸は脂肪を「化学的に分解」する酵素ではない。分解するのはリパーゼで、胆汁酸は乳化とミセル形成を助ける界面活性作用を担う。
- 臨床応用: 胆石や膵頭がんで胆汁・膵液の流れが妨げられると脂肪の消化吸収が低下し、脂肪便やビタミンの吸収障害が起こりうる。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
乳化した脂肪滴の表面で作用し、トリグリセリドを脂肪酸とモノグリセリドに分解する膵液中の酵素を( )という。
答えを見る
答え: リパーゼ
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。