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理由で解く 看護師国試

Q106P115 成人看護学

出典:第106回看護師国家試験(2017)午後 問115
問題
Aさん(23歳、男性)は、マラソンの途中で嘔吐し、意識混濁状態となり救急車で搬送された。来院時、体温39.5°Cで、熱中症と診断された。気管挿管と人工呼吸器管理が実施された。膀胱留置カテーテルを挿入後に輸液療法を開始して、ICUに入室した。表面冷却と血管内冷却によって体温は37°C台に下降した。既往歴:特記すべきことはない。身体所見:ICU入室時、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅱ-20。体温37.8°C、呼吸数28/分、脈拍110/分、血圧94/74mmHg。暗赤色尿を1時間で20mL認めた。検査所見:Hb16.8g/dL、Ht48.6%、Na130mEq/L、K6.5mEq/L、Cl100mEq/L、クレアチンキナーゼ〈CK〉48,000IU/L、尿素窒素60mg/dL、クレアチニン2.4mg/dL、AST〈GOT〉70IU/L、ALT〈GPT〉88IU/L。尿一般検査でミオグロビン陽性。胸部エックス線写真および頭部CTで異常所見なし。心電図でSTの変化はなく、洞性頻脈を認めた。
このときのAさんの状態のアセスメントで適切なのはどれか。2つ選べ。
選択肢
1 貧血である。
2 筋肉が傷害されている。
3 致死性不整脈が出現しやすい。
4 心原性ショックを起こしている。
5 利尿薬の使用が必要な状態である。
解答
正解2(筋肉が傷害されている。)、3(致死性不整脈が出現しやすい。)
解説

CK著明高値・ミオグロビン尿は横紋筋融解症を示し、K 6.5mEq/Lの高カリウム血症は致死性不整脈のリスクとなる。

Aさんは労作性熱中症でCK48,000IU/Lと著明に上昇し、尿はミオグロビン陽性の暗赤色尿を呈しており、骨格筋の融解(横紋筋融解症)が起きていると判断できる。融解した筋細胞から細胞内カリウムが放出され、K6.5mEq/Lの高カリウム血症を来している。高カリウム血症はテント状T波・心室細動などの致死性不整脈を誘発するため危険な状態である。Hb16.8g/dL・Ht48.6%は、男性で貧血とされるHb13g/dL未満に当たらず基準の範囲内で、脱水による血液濃縮の影響で高めに出ていると考えられる。心電図にST変化はなく心疾患の既往もないため、心臓から血液を送り出す力が落ちて起こる心原性ショックとは考えにくい。横紋筋融解症では十分な輸液で尿量を保ち、ミオグロビンの尿中への排泄を促して腎障害を防ぐことが治療の基本である。すでに脱水と乏尿があるところへ利尿薬を使うと血管内の水分がさらに減るため、まず輸液を行う。

✗ 1. 誤り
貧血である。
Hb16.8g/dL・Ht48.6%は基準の範囲内で貧血ではない。脱水による血液濃縮の影響で高めに出ていると考えられる
✓ 2. 正しい
筋肉が傷害されている。
CK48,000IU/Lの著明高値とミオグロビン尿から横紋筋融解症=筋傷害が明らか
✓ 3. 正しい
致死性不整脈が出現しやすい。
K6.5mEq/Lの高カリウム血症により心室細動などの致死性不整脈のリスクが高い
✗ 4. 誤り
心原性ショックを起こしている。
心電図にST変化はなく心疾患の既往もない。循環が悪いのは脱水と横紋筋融解によるもので、心臓から血液を送り出す力が落ちたことを示す所見はない
✗ 5. 誤り
利尿薬の使用が必要な状態である。
脱水と乏尿がある状態で利尿薬を使うと血管内の水分がさらに減る。まず十分な輸液を行って尿量を保つのが基本
ポイント
  • 熱中症+CK著明高値+ミオグロビン尿=横紋筋融解症
  • 筋融解→細胞内Kの放出→高カリウム血症→致死性不整脈
  • Hb・Htは基準の範囲内で貧血ではない(脱水による血液濃縮の影響で高めに出ている)
  • 治療は大量輸液が基本(利尿薬第一選択ではない)
比較表
横紋筋融解症の主な検査所見
項目Aさんの値意味
CK48,000IU/L著明高値=筋傷害
尿ミオグロビン陽性(暗赤色尿)筋崩壊産物の尿中排泄
K6.5mEq/L高カリウム血症→致死性不整脈
Cr2.4mg/dL急性腎障害の進行
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