学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ O. 下肢の局所解剖・脈管・神経 / Q1051

理由で解く 解剖学

Q1051 運動器系

出典:鍼灸 第15回(2007) 問題25
問題
下肢の動脈について正しい記述はどれか。
選択肢
1 大腿動脈は鼡径靭帯の上を通る。
2 膝窩動脈は総腓骨神経と伴行する。
3 前脛骨動脈は足根管を通過する。
4 後脛骨動脈は足底動脈弓を形成する。
解答
正解4(後脛骨動脈は足底動脈弓を形成する。)
解説
✗ 1. 誤り
大腿動脈は鼡径靭帯の上を通る。
大腿動脈は外腸骨動脈の続きで、鼠径靭帯の「下」にある血管裂孔をくぐって大腿三角に出現する。鼠径靭帯の上(腹側)は腹腔内で外腸骨動脈のままである。
✗ 2. 誤り
膝窩動脈は総腓骨神経と伴行する。
膝窩では膝窩動脈と伴行するのは「脛骨神経」である。総腓骨神経は膝窩の外側縁(大腿二頭筋に沿って)を下行し、腓骨頸を外側から回り込んで下腿前面・外側に至るため、膝窩動脈とは伴行しない。
✗ 3. 誤り
前脛骨動脈は足根管を通過する。
前脛骨動脈は下腿前面を伸筋群とともに下行し、足首前面の伸筋支帯下をくぐって足背動脈に移行する。足根管は内果後方にあり、後脛骨動脈・脛骨神経・屈筋腱が通るトンネルで、前脛骨動脈とは通過経路が異なる。
✓ 4. 正しい
後脛骨動脈は足底動脈弓を形成する。
後脛骨動脈は膝窩動脈から分岐(膝窩筋の下縁で前脛骨動脈と分かれる)して下腿後面深層を下行し、内果後方の足根管を屈筋腱・脛骨神経とともに通過して足底に達する。足底で内側足底動脈と外側足底動脈に分かれ、外側足底動脈が足底を横断して内側の深足底動脈(足背動脈からの穿通枝)と吻合して足底動脈弓を形成する。足底動脈弓からは底側中足動脈、さらに底側指動脈が分岐して足の指を栄養する。つまり足底動脈弓は「外側足底動脈(=後脛骨動脈の枝)+深足底枝(=足背動脈の終枝)」の吻合として完成するが、主体となるのは後脛骨動脈由来の外側足底動脈である点が本肢の根拠となる。
ポイント
  • 後脛骨動脈は足根管を通って足底に至り、外側足底動脈となって足底動脈弓の主幹をつくる。
  • 覚え方のコツ: 下肢動脈の流れ「外腸骨→大腿(鼠径靭帯下)→膝窩(内転筋腱裂孔後)→前脛骨+後脛骨→足背/足底動脈弓」。膝窩動脈の伴走は脛骨神経。
  • 関連知識: 腓骨動脈は後脛骨動脈の枝で腓骨に沿って下行し深部にあるため触知不能。前脛骨動脈は足背動脈に移行。
  • よくある間違い: 前脛骨動脈が足根管通過と誤認/膝窩動脈の伴走を総腓骨神経と取り違え。
  • 臨床応用: 足底動脈弓は前後の動脈が吻合するため血流の冗長性があり、一方が閉塞しても他方から代償される。閉塞性動脈硬化症では後脛骨動脈触知(内果後方)が重要。
比較表
動脈 経路 伴行神経
大腿動脈 血管裂孔→大腿三角→内転筋管 伏在神経(内転筋管で)
膝窩動脈 内転筋腱裂孔→膝窩→ヒラメ筋腱弓 脛骨神経
前脛骨動脈 下腿前面伸筋群中→伸筋支帯下 深腓骨神経
後脛骨動脈 下腿後面深層→足根管→足底 脛骨神経
足背動脈(前脛骨動脈の続き) 足背 深腓骨神経
解説画像
鍼灸 第15回(2007) 問題25|下肢の動脈について正しい記述はどれか。 解説図
鍼灸 第15回(2007) 問題25|下肢の動脈について正しい記述はどれか。
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