学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ H. 体幹の筋 / Q0874

理由で解く 解剖学

Q0874 運動器系

出典:あマ指 第5回(1997) 問題20
問題
肩甲骨に停止する筋はどれか。
選択肢
1 胸鎖乳突筋
2 大胸筋
3 前鋸筋
4 鎖骨下筋
解答
正解3(前鋸筋)
解説
✗ 1. 誤り
胸鎖乳突筋
胸鎖乳突筋は胸骨頭(胸骨柄)と鎖骨頭(鎖骨内側1/3)の2頭から起こり、側頭骨乳様突起および後頭骨上項線に停止する。肩甲骨には停止せず、頭部の回旋・側屈・前屈に働く。
✗ 2. 誤り
大胸筋
大胸筋は鎖骨内側1/2・胸骨・肋軟骨・腹直筋鞘から起こり、上腕骨大結節稜に停止する。肩甲骨を経由せず、直接上腕骨に停止する筋である。
✓ 3. 正しい
前鋸筋
前鋸筋は第1〜8(または9)肋骨外面から起こり、肩甲骨内側縁(前面)全長に沿って停止する浅胸筋の1つである。長胸神経(C5〜C7)に支配され、肩甲骨を前方に引き(前方突出)、とくに下方筋束は肩甲骨下角を前外方へ引いて肩甲骨を回旋させ、上肢の90度以上の挙上(屈曲・外転)を可能にする。腋窩の内側壁を形成し、胸郭側面でのこぎり状の輪郭を示す。長胸神経麻痺では「翼状肩甲(winged scapula)」が生じ、壁を押すテストで肩甲骨内側縁が浮き上がる特徴的な臨床所見を呈する。
✗ 4. 誤り
鎖骨下筋
鎖骨下筋は第1肋骨から起こり鎖骨下面に停止する小さな筋で、鎖骨下筋神経(C5)に支配される。鎖骨を下内方に引き胸鎖関節を保護し、鎖骨下動静脈のクッションの役目を果たす。肩甲骨には停止しない。
ポイント
  • 前鋸筋は肋骨から肩甲骨内側縁(前面)に停止し、長胸神経(C5〜C7)支配で肩甲骨の前方突出・回旋を行う。
  • 覚え方のコツ: 浅胸筋4筋の停止は「大胸筋=大結節稜」「小胸筋=烏口突起」「鎖骨下筋=鎖骨下面」「前鋸筋=肩甲骨内側縁」。前鋸筋だけ肩甲骨に停止。
  • 関連知識: 肩甲骨に停止する筋は多数(肩甲挙筋・菱形筋・僧帽筋中部/下部・前鋸筋)があるが、浅胸筋では前鋸筋のみ。小胸筋は烏口突起に停止する。
  • よくある間違い: 前鋸筋の停止を「肋骨」と誤答する(肋骨は起始)/肩甲骨の「外側縁」と誤答(正しくは内側縁)。
  • 臨床応用: 長胸神経麻痺(リュックサック麻痺、乳癌手術後)では翼状肩甲(winged scapula)が生じる。壁押し試験で肩甲骨内側縁が浮き上がる。鍼灸ではボクサーの肩痛治療で重要な筋。
比較表
浅胸筋 起始 停止 支配神経
大胸筋 鎖骨内側1/2・胸骨・肋軟骨 上腕骨大結節稜 内・外側胸筋神経
小胸筋 第2〜5肋骨 肩甲骨烏口突起 内・外側胸筋神経
鎖骨下筋 第1肋骨 鎖骨下面 鎖骨下筋神経
前鋸筋 第1〜8肋骨 肩甲骨内側縁 長胸神経(C5〜7)
解説画像
あマ指 第5回(1997) 問題20|肩甲骨に停止する筋はどれか。 解説図
あマ指 第5回(1997) 問題20|肩甲骨に停止する筋はどれか。
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