学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ K. 自律神経系 / Q0686

理由で解く 解剖学

Q0686 神経系

出典:あマ指 第29回(2021) 問題21
問題
自律神経系について正しいのはどれか。
選択肢
1 自律神経の最高中枢は延髄にある。
2 交感神経の中枢は脊髄前角にある。
3 毛様体神経節は交感神経の中継点である。
4 骨盤内臓神経は副交感性である。
解答
正解4(骨盤内臓神経は副交感性である。)
解説
✗ 1. 誤り
自律神経の最高中枢は延髄にある。
自律神経の「最高中枢」は間脳の視床下部にあり、延髄ではない。延髄には呼吸中枢・心臓血管中枢・嚥下中枢などの「下位の生命維持中枢」があるが、これらを統合する最上位は視床下部であるため誤り。視床下部は体温調節・摂食・飲水・内分泌・概日リズム・情動と自律神経を一括制御する。
✗ 2. 誤り
交感神経の中枢は脊髄前角にある。
交感神経の節前ニューロンは胸髄〜上部腰髄(T1〜L2)の「側角(中間外側核)」にあり、前角ではない。前角は体性運動ニューロン(骨格筋を動かすα・γ運動ニューロン)の場所で、自律神経の起始核ではないため誤り。「前角=運動・後角=感覚・側角=自律」の三分法で整理する。
✗ 3. 誤り
毛様体神経節は交感神経の中継点である。
毛様体神経節は動眼神経(III)由来の「副交感神経」の中継点で、交感神経ではないため誤り。動眼神経副核から出た節前線維がここで節後ニューロンに交代し、毛様体筋・瞳孔括約筋を支配して縮瞳・近見調節を行う。散瞳を担う交感神経の中継点は上頸神経節であり、節後線維が眼動脈枝に伴行して瞳孔散大筋に達する別ルート。
✓ 4. 正しい
骨盤内臓神経は副交感性である。
骨盤内臓神経は仙髄(S2〜S4)側角から起こる副交感神経である。節前線維が前根を経由して前仙骨孔から骨盤腔に出て、膀胱壁・直腸壁・生殖器(陰茎・陰核の海綿体血管など)の壁内神経節で節後ニューロンに交代し、排尿(膀胱排尿筋収縮)・排便(直腸収縮)・勃起などの骨盤内機能を司る。脳神経由来の副交感(III・VII・IX・X)とあわせて「脳仙系(CranioSacral系)」を構成する。骨盤部の交感神経は腰内臓神経・下腹神経として別経路で分布し、射精・蓄尿に関与する点と区別。本問の正解。
ポイント
  • 骨盤内臓神経は仙髄S2〜S4側角から起こる副交感神経で、膀胱・直腸・生殖器の骨盤内臓機能(排尿・排便・勃起)を担う。
  • 覚え方のコツ: 自律神経起始部は「交感=胸腰T1〜L2/副交感=脳神経3・7・9・10+仙髄S2〜S4」=「胸腰系」vs「脳仙系」で二分。最高中枢は視床下部、延髄は下位中枢。
  • 関連知識: 毛様体神経節(副交感・III)/翼口蓋・顎下神経節(副交感・VII)/耳神経節(副交感・IX)/各臓器壁内神経節(副交感・X)が脳神経副交感の4系統。交感は椎旁の交感神経幹+前椎の腹腔神経節・上下腸間膜神経節が節後交代点。
  • よくある間違い: 延髄を「最高中枢」と誤解/骨盤内臓神経を交感と勘違い/毛様体神経節を交感中継点と取り違え/脊髄前角と側角の機能を混同。
  • 臨床応用: 馬尾症候群・仙骨骨折でS2〜S4が障害されると神経因性膀胱(尿閉または溢流性尿失禁)・排便障害・勃起障害(ED)を生じる。糖尿病性自律神経障害では迷走神経障害により無症候性心筋虚血・胃排出遅延・起立性低血圧が起こる。
比較表
構造 系統 脊髄レベル/脳神経 主な機能・支配
視床下部 自律神経最高中枢 間脳 全自律機能の統合・内分泌制御
延髄 下位中枢 脳幹 呼吸・心血管・嚥下中枢
交感神経起始核 胸腰系 T1〜L2側角 全身の交感節前ニューロン
脳神経副交感 脳仙系(脳) III・VII・IX・X 瞳孔・唾液腺・涙腺・胸腹内臓
骨盤内臓神経 脳仙系(仙) S2〜S4側角 膀胱・直腸・生殖器(排尿・排便・勃起)
解説画像
あマ指 第29回(2021) 問題21|自律神経系について正しいのはどれか。 解説図
あマ指 第29回(2021) 問題21|自律神経系について正しいのはどれか。
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