
この図の解説
この図は右手のひらを深層まで開いた解剖である。手根中央の下方から赤い尺骨動脈が上がってきて、その「深掌枝」が母指球の深部で橈骨動脈由来の弧「深掌動脈弓」に合流する。この弓から各指間へ向かう「掌側中手動脈」が枝分かれし、遠位で「固有掌側指動脈」となる流れを追いたい。図の下方では、橈側手根屈筋腱の外側を上る橈骨動脈と、その「浅掌枝」「掌側手根枝」、および尺骨動脈の「深掌枝」「掌側手根枝」が確認できる。動脈弓に沿って黄色い神経が走り、尺骨神経が豆状骨の橈側で深掌枝と浅掌枝に分かれる点、深指屈筋腱・浅指屈筋腱・虫様筋がいずれも×印で切除されている点も見どころである。表層の浅掌動脈弓・正中神経・尺骨神経浅枝を取り除いて初めて見える深層の血管神経像だと理解して観察する。
学習の要点
- 前腕を下行した橈骨動脈と尺骨動脈が手内で吻合し、浅掌動脈弓と深掌動脈弓という2つの動脈ループをつくる。深層側のループが本図の深掌動脈弓である。
- 覚え方のコツ: 「深いところは橈骨がつくる」。深掌動脈弓は橈骨動脈が背側に回った枝が主体となり、そこへ尺骨動脈の深掌枝が合流して完成する。浅掌動脈弓は逆に尺骨動脈が主体。
- 関連知識: 尺骨動脈と尺骨神経は前腕で尺側手根屈筋の深層をいっしょに下り、豆状骨の橈側から尺骨神経管(ギヨン管)を通って手内に入る。図で両者が並走するのはこのため。
- よくある間違い: 深掌動脈弓と手根管を混同しない。手根管を通るのは長母指屈筋・浅指屈筋・深指屈筋の腱と正中神経であり、尺骨神経・尺骨動脈は屈筋支帯の浅層のギヨン管を通る。
- 臨床応用: 手を強く握る動作では母指内転筋が長母指屈筋・母指対立筋と協力する。母指内転筋を支配する尺骨神経が麻痺すると握力が減弱する。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
尺骨動脈は尺側手根屈筋の深層で( )と伴行しながら手首に向かい、豆状骨の橈側から手内に入って浅・深掌動脈弓に合流する。空欄に入る神経名を答えよ。
答えを見る
答え: 尺骨神経
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。