
この図の解説
図の右側で、脊髄から出た前枝(黄・青・赤の線)が上下で互いに交通し、複数の根が編み込まれてから筋へ向かう様子に注目したい。これが神経叢である。左側の筋を見ると、前鋸筋は長胸神経(C5〜7)と三つの分節から、円回内筋は正中神経(C6・7)と二つの分節から、鎖骨下筋は鎖骨下筋神経(C5)と一つの分節から支配される。神経叢を経ることで、一本の神経根が障害されても筋の機能が完全には停止しにくい利点が生まれる。上肢と下肢が体幹の腹側外方へ伸び出す際に前枝がひきずられ、隣り合う前枝が草むらのように交通して、頸神経叢・腕神経叢・腰神経叢・仙骨神経叢が形成される。一方、図の下段の肋間神経(T1〜12前枝)は肋骨に沿って走るため発生初期の分節性を保ち、神経叢をつくらず独立したまま走る。前枝では肋間神経が、そして脊髄神経では後枝が、神経叢をつくらない例外である。
学習の要点
- 脊髄神経の前枝は上下で互いに吻合し、頸・腕・腰・仙骨の各神経叢をつくるのが原則である。
- 覚え方のコツ: 「叢をつくらない前枝は肋間神経だけ」。後枝は全て分節性を保ち叢をつくらない。
- 関連知識: 上肢・下肢が体幹腹側から伸び出す発生過程で前枝がひきずられ、分節が入り乱れて交通が生じる。前鋸筋(長胸神経C5〜7)のように一筋が複数分節に支配されるのはこのため。
- よくある間違い: 神経叢をつくるのは前枝であって後枝ではない。後枝は固有背筋と背中の皮膚に分節的に分布する。
- 臨床応用: 神経叢は複数根が合流するため、単一神経根障害でも症状が軽減されやすく、逆にデルマトームの感覚異常から障害される神経根の高さを推定できる。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
上肢と下肢が体幹の腹側外方へ伸び出す発生過程で前枝がひきずられ、隣り合う前枝が交通する結果、上肢には( )神経叢がつくられる。
答えを見る
答え: 腕
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。