学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ J. 脊髄神経 / Q0638

理由で解く 解剖学

Q0638 神経系

出典:鍼灸 第11回(2003) 問題20
問題
上肢の筋と神経との組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 烏口腕筋 - 腋窩神経
2 浅指屈筋 - 正中神経
3 長母指外転筋 - 尺骨神経
4 背側骨間筋 - 橈骨神経
解答
正解2(浅指屈筋 - 正中神経)
解説
✗ 1. 誤り
烏口腕筋 - 腋窩神経
烏口腕筋は筋皮神経(C5-C7)に支配される上腕前面の屈筋である。腋窩神経(C5-C6)は腕神経叢後神経束から分岐し、三角筋と小円筋のみを運動支配する。両者は起始レベルや支配範囲が異なる。
✓ 2. 正しい
浅指屈筋 - 正中神経
浅指屈筋は前腕屈筋群の中で中層に位置し、第2-5指の中節骨底に停止して第2-5指のPIP関節を屈曲させる。正中神経(C6-T1)は腕神経叢から出て上腕内側を下り、肘窩で円回内筋の二頭間を通ってから浅指屈筋の筋腹下面を前腕正中に沿って下行する。神経支配は前腕屈筋群の大半と母指球筋群に及び、手根管症候群では母指対立障害が特徴となる。
✗ 3. 誤り
長母指外転筋 - 尺骨神経
長母指外転筋は橈骨神経(C5-T1)の深枝である後骨間神経が支配する前腕伸筋群のひとつで、母指を橈側外方に開く作用をもつ。尺骨神経(C8-T1)は手内在筋の多くと浅指屈筋の内側寄り、尺側手根屈筋を支配するが、母指外転筋群には関与しない。
✗ 4. 誤り
背側骨間筋 - 橈骨神経
背側骨間筋は中手骨間に位置する手内在筋で、指を正中から遠ざける(外転)作用をもつ。支配は尺骨神経深枝であり、橈骨神経ではない。橈骨神経は上腕三頭筋と前腕伸筋群の運動支配にとどまり、手内在筋には到達しない。
ポイント
  • 前腕屈筋群は主に正中神経支配で、尺側手根屈筋と深指屈筋尺側半のみが尺骨神経支配。前腕伸筋群と腕橈骨筋は橈骨神経支配。
  • 覚え方のコツ: 「筋皮=上腕屈筋、腋窩=三角筋/小円筋、正中=前腕屈筋+母指球、尺骨=手内在筋+尺側屈筋、橈骨=伸筋系」の5系統で整理する。
  • 関連知識: 浅指屈筋はPIP、深指屈筋はDIPを屈曲する。深指屈筋は正中(橈側半)と尺骨(尺側半)で二重支配を受ける稀な筋。
  • よくある間違い: 骨間筋を橈骨神経と誤る/烏口腕筋を腋窩神経と誤る/母指球筋と骨間筋の支配神経を取り違える。
  • 臨床応用: 手根管症候群では正中神経圧迫で母指対立障害(猿手)、ギヨン管症候群では尺骨神経障害で鷲手、橈骨神経麻痺では下垂手となる。
比較表
神経 主な運動支配(上肢)
筋皮神経 烏口腕筋・上腕二頭筋・上腕筋
腋窩神経 三角筋・小円筋
正中神経 前腕屈筋群(尺側手根屈筋・深指屈筋尺側半を除く)・母指球筋(母指内転筋を除く)
尺骨神経 尺側手根屈筋・深指屈筋尺側半・手内在筋(母指球筋の一部を除く)
橈骨神経 上腕三頭筋・腕橈骨筋・前腕伸筋群
解説画像
鍼灸 第11回(2003) 問題20|上肢の筋と神経との組合せで正しいのはどれか。 解説図
鍼灸 第11回(2003) 問題20|上肢の筋と神経との組合せで正しいのはどれか。
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