学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ J. 脊髄神経 / Q0619

理由で解く 解剖学

Q0619 神経系

出典:鍼灸 第1回(1993) 問題18
問題
筋とその支配神経との組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1 口輪筋 ― 下顎神経
2 胸鎖乳突筋 ― 副神経
3 三角筋 ― 腋窩神経
4 浅指屈筋 ― 正中神経
解答
正解1(口輪筋 ― 下顎神経)
解説
✓ 1. 誤り
口輪筋 ― 下顎神経
✓ 正しい(=誤った組合せ)。 口輪筋は口を取り囲む表情筋の代表で、すべての表情筋と同様に第VII脳神経である「顔面神経」の支配を受ける。下顎神経(第V脳神経の第3枝=三叉神経下顎枝)は咬筋・側頭筋など咀嚼筋の運動と下顎部の感覚を担う神経であり、表情筋は支配しない。本問はこの組合せの誤りを問うている。
✗ 2.
胸鎖乳突筋 ― 副神経
✗ 正しい。 組合せは妥当である。胸鎖乳突筋は副神経(第XI脳神経)外枝の運動支配を受ける。副神経は頸静脈孔から出て胸鎖乳突筋・僧帽筋を支配し、頸部郭清術での損傷では肩甲骨の挙上・回旋障害(翼状肩甲)や頸部回旋筋力低下を生じる。
✗ 3.
三角筋 ― 腋窩神経
✗ 正しい。 組合せは妥当である。三角筋は腕神経叢後束から起こる腋窩神経(C5-C6)の支配を受け、上腕の外転(特に水平位までの動き)を担う。腋窩神経は上腕骨外科頸の後面を回るため、外科頸骨折や肩関節脱臼で損傷されると三角筋萎縮と肩外側部の感覚障害(バッジエリア)が生じる。
✗ 4.
浅指屈筋 ― 正中神経
✗ 正しい。 組合せは妥当である。浅指屈筋は前腕屈筋群浅層に属する筋で、第2-5指のPIP関節を屈曲させる。腕神経叢の正中神経(外側束+内側束由来)支配を受け、これは前腕屈筋群の大部分(尺側手根屈筋・深指屈筋尺側半を除く)が正中神経支配であるという原則に合致する。
ポイント
  • 表情筋(口輪筋・眼輪筋・頬筋・前頭筋など)はすべて顔面神経(第VII脳神経)支配であり、咀嚼筋(咬筋・側頭筋・内外側翼突筋)はすべて三叉神経下顎枝支配である。
  • 覚え方のコツ: 「表情はVII(しち=幸せ顔)/咀嚼はV3(ご飯を噛む)」と数字と機能をセットで対応づける。胸鎖乳突筋・僧帽筋はXI副神経のペアで覚える。
  • 関連知識: 顔面神経麻痺(Bell麻痺など)では同側顔面の表情筋全体が麻痺し、額のしわ寄せ不能・口角下垂・閉眼不全が生じる。中枢性麻痺では下半分のみ。
  • よくある間違い: 顔面の運動=三叉神経と思い込みやすいが、三叉神経は感覚と咀嚼筋運動のみを担当し、表情筋運動は担わない。咬筋など咀嚼筋4種だけがV3支配。
  • 臨床応用: 副神経損傷(頸部リンパ節郭清の合併症)では僧帽筋麻痺により肩甲骨下方回旋・翼状肩甲が出現し、上肢挙上が90度以上困難となる。
比較表
支配神経 神経分類
口輪筋・表情筋 顔面神経 第VII脳神経
咬筋・側頭筋(咀嚼筋) 下顎神経(V3) 三叉神経第3枝
胸鎖乳突筋・僧帽筋 副神経 第XI脳神経
三角筋・小円筋 腋窩神経 腕神経叢後束
浅指屈筋 正中神経 腕神経叢外側+内側束
解説画像
鍼灸 第1回(1993) 問題18|筋とその支配神経との組合せで誤っているのはどれか。 解説図
鍼灸 第1回(1993) 問題18|筋とその支配神経との組合せで誤っているのはどれか。
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