
この図の解説
図は横隔膜を腹腔側の下方から見上げた像で、胸郭下口をドーム状にふさぐ膜状の筋が確認できる。周囲の胸郭下口から起こった筋束が中央へ集まり、頂上部で白く見える腱膜化した部分がクローバー形の腱中心である。ここに開く3つの孔の位置関係に注目したい。最も上方(背側)で右寄りに大静脈孔、その前下方に食道裂孔、さらに前下方の椎体前面に大動脈裂孔が並ぶ。同じ「あな」でも、腱中心にあいた大静脈孔だけが「孔」と呼ばれ、筋部にあいた残り2つは伸縮で裂け目状になるため「裂孔」と呼ばれる。高さは大静脈孔が第8胸椎、食道裂孔が第10胸椎、大動脈裂孔が第12胸椎と、上から順に2椎ずつ下がる規則性が覚えどころになる。
学習の要点
- 3孔と高さ・通過物:大静脈孔(Th8)=下大静脈/食道裂孔(Th10)=食道・迷走神経/大動脈裂孔(Th12)=下行大動脈・胸管・奇静脈。
- 覚え方のコツ:高さは「8・10・12」と上から偶数で2ずつ下降。「静脈→食道→動脈」の順に深くなると結び付ける。
- 覚え方のコツ:食道裂孔は「10(テン)でテイショク(定食)=食道」、大動脈裂孔は数字の大きいTh12に一番大きな下行大動脈、と語呂で固定する。
- よくある間違い:胸管が通るのは食道裂孔ではなく大動脈裂孔。迷走神経が通るのは食道裂孔(食道に伴走)で大動脈裂孔ではない。
- 関連知識:横隔膜を支配するのは横隔神経(第3〜5頸神経)。停止は腱中心で、主要な吸気筋として収縮時に胸腔を広げる。臨床では食道裂孔を通る食道ヘルニアが横隔膜ヘルニアで最も多い。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
食道裂孔は第( )胸椎の高さにあり、食道とともに( )神経が通過する。空欄に入る語の組合せを答えよ。
答えを見る
答え: 10(第10胸椎)・迷走
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。