学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ I. 脳神経 / Q0601

理由で解く 解剖学

Q0601 神経系

出典:あマ指 第20回(2012) 問題30
問題
脳神経について正しい記述はどれか。
選択肢
1 動眼神経は上眼窩裂を通る。
2 顔面神経は舌下腺を貫く。
3 迷走神経は後頸三角を通る。
4 副神経は顎下三角を通る。
解答
正解1(動眼神経は上眼窩裂を通る。)
解説
✓ 1. 正しい
動眼神経は上眼窩裂を通る。
動眼神経(III)は中脳の大脳脚内側から出て、海綿静脈洞の外側壁を通ったのち上眼窩裂を経て眼窩に入る。上眼窩裂は蝶形骨の大翼と小翼の間にできる隙間で、III・IV・VI・V1(眼神経)と眼静脈が通る「眼球運動関連の関門」であり、ここで損傷すると複合的な眼球運動障害と上眼瞼下垂・瞳孔散大が起こる。動眼神経は外眼筋4つ(上・内・下直筋、下斜筋)と上眼瞼挙筋を支配し、副交感線維は毛様体神経節で節後線維に交代して瞳孔括約筋・毛様体筋に至る。
✗ 2. 誤り
顔面神経は舌下腺を貫く。
顔面神経(VII)は茎乳突孔から頭蓋外に出て「耳下腺」実質を貫きながら扇状に分岐し、表情筋に分布する。舌下腺ではない点が要注意で、舌下腺への分泌は顔面神経の枝である鼓索神経が顎下神経節で交代した節後線維が担うものの、腺実質を貫くわけではない。
✗ 3. 誤り
迷走神経は後頸三角を通る。
迷走神経(X)は頸静脈孔から頭蓋外に出たのち、内頸静脈と総頸動脈に挟まれた頸動脈鞘内を下行する。胸鎖乳突筋の深部(前頸部深層)を通る経路で、胸鎖乳突筋と僧帽筋の間にできる「後頸三角」の内部を走行することはない。後頸三角を通過する神経は副神経(XI)である。
✗ 4. 誤り
副神経は顎下三角を通る。
副神経(XI)は頸静脈孔を出たのち胸鎖乳突筋を貫きながら後頸三角を斜めに横切り、僧帽筋に至って両筋を支配する。顎下三角(下顎体・二腹筋前腹・後腹で囲まれた領域)は顎下腺のある領域で、ここを走るのは顔面動脈・顔面神経の下顎縁枝・舌下神経などであり副神経は通らない。
ポイント
  • 動眼神経(III)は上眼窩裂を通って眼窩に入り、外眼筋4つと上眼瞼挙筋を支配するほか副交感性に瞳孔括約筋・毛様体筋も支配する。
  • 覚え方のコツ: 上眼窩裂の通過神経は「III・IV・V1・VI+眼静脈」。「3つの運動神経と1つの感覚枝が同じ裂を通る」と整理するとまとめて覚えやすい。
  • 関連知識: 視神経(II)だけは視神経管を単独通過。V2(上顎神経)は正円孔、V3(下顎神経)は卵円孔と、V枝ごとに出孔が異なる。
  • よくある間違い: 動眼神経と滑車神経の出孔を混同しやすい(どちらも上眼窩裂)。滑車神経は中脳背面から出る唯一の脳神経という特徴もあわせて押さえる。
  • 臨床応用: 海綿静脈洞血栓症や上眼窩裂症候群では III・IV・V1・VI がまとめて障害され、眼球運動全廃・前額部知覚低下・瞳孔散大が同時に生じる。
比較表
脳神経 出孔 主な支配
III 動眼神経 上眼窩裂 外眼筋4・上眼瞼挙筋・瞳孔括約筋
IV 滑車神経 上眼窩裂 上斜筋
V1 眼神経 上眼窩裂 前額・角膜の感覚
V2 上顎神経 正円孔 上顎・頬部の感覚
V3 下顎神経 卵円孔 下顎の感覚+咀嚼筋運動
VI 外転神経 上眼窩裂 外側直筋
解説画像
あマ指 第20回(2012) 問題30|脳神経について正しい記述はどれか。 解説図
あマ指 第20回(2012) 問題30|脳神経について正しい記述はどれか。
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