学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ I. 脳神経 / Q0579

理由で解く 解剖学

Q0579 神経系

出典:鍼灸 第10回(2002) 問題31
問題
瞳孔括約筋を支配する脳神経はどれか。
選択肢
1 視神経
2 動眼神経
3 滑車神経
4 外転神経
解答
正解2(動眼神経)
解説
✗ 1. 誤り
視神経
視神経(II)は網膜からの視覚情報を中枢に伝える純感覚性の求心性神経。対光反射では求心路(光刺激を感知)として働くが、瞳孔括約筋を直接動かす遠心性線維は含まない。
✓ 2. 正しい
動眼神経
動眼神経(III)の副交感線維が瞳孔括約筋を支配して縮瞳を起こす。経路は、中脳のEdinger-Westphal核(動眼神経副核)→動眼神経→上眼窩裂→毛様体神経節(節前・節後ニューロンの交代)→短毛様体神経→瞳孔括約筋という流れで、虹彩の輪状平滑筋である瞳孔括約筋を収縮させて瞳孔を縮小させる。この経路は対光反射(光→網膜→II視神経→視蓋前核→両側EW核→III動眼神経→瞳孔括約筋→縮瞳)の遠心路として機能し、対光反射の直接反応と共感性反応の解剖学的基盤となる。対極にある散大筋(瞳孔散大筋)は交感神経(上頸神経節由来)支配で、両者の拮抗により瞳孔径が調節される。動眼神経麻痺では瞳孔散大(散瞳)・対光反射消失をきたす。
✗ 3. 誤り
滑車神経
滑車神経(IV)は上斜筋のみを支配する純運動性神経で、副交感線維を持たない。外眼筋を動かす3神経(III・IV・VI)のうち副交感性を持つのはIII動眼神経のみ。
✗ 4. 誤り
外転神経
外転神経(VI)は外側直筋のみを支配する純運動性神経で、副交感線維を持たない。名称通り眼球を外転(外側へ動かす)させるのが唯一の役割で、瞳孔には関与しない。
ポイント
  • 瞳孔括約筋は動眼神経(III)の副交感線維(EW核→毛様体神経節経由)が支配し、収縮により縮瞳をもたらす。拮抗する瞳孔散大筋は交感神経支配で散瞳を起こす。
  • 覚え方のコツ: 「縮瞳=副交感=動眼神経(III)/散瞳=交感=上頸神経節」と反対の作用を対にして記憶。対光反射は求心II・遠心IIIと番号で覚える。
  • 関連知識: 毛様体神経節は眼窩内にある副交感神経節で、ここを通る線維は動眼神経由来のみ(短毛様体神経として眼球に入る)。動眼神経と毛様体筋・瞳孔括約筋を結ぶ中継点である。
  • よくある間違い: 視神経を「瞳孔の神経」と誤解しがち。視神経は対光反射の求心路、動眼神経が遠心路であり、役割が異なる。
  • 臨床応用: 動眼神経麻痺では散瞳・対光反射消失のほか眼瞼下垂・眼球運動障害を呈する。鉤ヘルニアの初期徴候としての「片側散瞳+眼瞼下垂」は緊急性が高いサイン。
比較表
神経支配 作用
瞳孔括約筋 III 動眼神経(副交感) 縮瞳
瞳孔散大筋 交感神経(上頸神経節由来) 散瞳
毛様体筋 III 動眼神経(副交感) 水晶体を厚くして近見調節
上眼瞼挙筋 III 動眼神経(運動性) 上眼瞼の挙上
解説画像
鍼灸 第10回(2002) 問題31|瞳孔括約筋を支配する脳神経はどれか。 解説図
鍼灸 第10回(2002) 問題31|瞳孔括約筋を支配する脳神経はどれか。
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