学習トップ理由で解く 解剖学第8章 ▸ F. 大脳 / Q0519

理由で解く 解剖学

Q0519 神経系

出典:鍼灸 第2回(1994) 問題27
問題
大脳について正しい記述はどれか。
選択肢
1 嗅球は大脳辺縁系の一部をなす。
2 尾状核は知覚核の一つである。
3 視床は白質である。
4 中心溝は頭頂葉と後頭葉とを分ける。
解答
正解1(嗅球は大脳辺縁系の一部をなす。)
解説
✓ 1. 正しい
嗅球は大脳辺縁系の一部をなす。
嗅球は嗅神経(嗅糸)が集合して終わる前頭葉下面の小隆起で、古皮質に属し、嗅索・嗅三角を介して海馬・扁桃体など大脳辺縁系と連絡する。大脳辺縁系は嗅覚・本能行動・情動・記憶に関わる古い皮質系で、嗅球・梨状葉・海馬・海馬傍回・扁桃体・帯状回・中隔核などから構成される。視床下部・視床前核も機能的に含まれる。嗅覚だけが唯一視床を介さず直接大脳皮質へ入力される特徴も辺縁系由来と関連する。
✗ 2. 誤り
尾状核は知覚核の一つである。
尾状核は大脳基底核の1つで、被殻とともに線条体を構成する「運動調節」の核である。知覚(感覚)中継核ではない。感覚中継を担うのは視床の外側後核群(VPL・VPM・外側/内側膝状体)であり、尾状核は運動ループに属する。
✗ 3. 誤り
視床は白質である。
視床は神経細胞の集合体である「灰白質」(間脳最大の核群)であり、白質ではない。白質は髄鞘を持つ神経線維の集合で、大脳の髄質や脳梁・内包・大脳脚などが相当する。色調でいえば灰白質が暗赤灰色、白質が白色に見える。
✗ 4. 誤り
中心溝は頭頂葉と後頭葉とを分ける。
中心溝は「前頭葉と頭頂葉」の境界である。頭頂葉と後頭葉を分けるのは「頭頂後頭溝」で、内側面でよく観察できる。外側面では頭頂葉と後頭葉の境界は不明瞭で、大脳半球の内側面を見て確認する必要がある。
ポイント
  • 大脳辺縁系=嗅球・海馬・海馬傍回・扁桃体・帯状回・中隔核などの古皮質系で、嗅覚・情動・記憶・本能行動を司る。
  • 覚え方のコツ: 辺縁系メンバーは「海・扁・帯・嗅・傍・中」(海馬・扁桃体・帯状回・嗅球・海馬傍回・中隔核)と韻で覚える。大脳の溝は『中心溝=前頭/頭頂』『外側溝=側頭の上』『頭頂後頭溝=頭頂/後頭』の3本セット。
  • 関連知識: 海馬は記憶(特にエピソード記憶の形成)、扁桃体は情動特に恐怖反応、帯状回は情動と注意、視床下部は自律機能統合を担い、これらは Papez 回路で連結される。
  • よくある間違い: 尾状核を感覚核と誤る/視床を白質と誤る(灰白質)/中心溝を頭頂葉と後頭葉の境と誤る、の3つは鉄板ミス。灰白質/白質の区別と溝の役割は必ず図で確認。
  • 臨床応用: アルツハイマー病では海馬・嗅内皮質の萎縮が早期から出現し、記憶障害が主症状となる。側頭葉てんかんでは扁桃体・海馬起始の異常放電で既視感・自律症状を伴う部分発作が起こる。
比較表
大脳辺縁系の構成要素 主な機能
嗅球・嗅索 嗅覚の一次中枢
海馬・海馬傍回 記憶(特にエピソード記憶)形成
扁桃体 情動(恐怖・怒り)、社会的行動
帯状回 情動・注意・疼痛
中隔核 快・報酬、本能行動
視床下部・視床前核 自律機能・内分泌・Papez回路
解説画像
鍼灸 第2回(1994) 問題27|大脳について正しい記述はどれか。 解説図
鍼灸 第2回(1994) 問題27|大脳について正しい記述はどれか。
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