学習トップ理由で解く 解剖学第4章 ▸ F. 小腸 / Q0296

理由で解く 解剖学

Q0296 消化器系

出典:鍼灸 第1回(1993) 問題21
問題
パイエル板(集合リンパ小節)があるのはどれか。
選択肢
1
2 十二指腸
3 回腸
4 虫垂
解答
正解3(回腸)
解説
✗ 1. 誤り
胃の粘膜固有層には孤立性のリンパ小節がわずかに存在する程度で、集合リンパ小節(パイエル板)は見られない。胃粘膜の免疫組織としては主に粘膜固有層の散在性リンパ球とプラズマ細胞、ヘリコバクター感染時に形成されるMALT(粘膜関連リンパ組織)が知られる。
✗ 2. 誤り
十二指腸
十二指腸には粘膜下組織に発達した十二指腸腺(ブルンナー腺)が特徴的に存在し、アルカリ性で粘液に富む分泌物を分泌して胃液の酸性を中和する。集合リンパ小節は散在する孤立リンパ小節が中心で、大型のパイエル板は十二指腸の代表的特徴ではない。
✓ 3. 正しい
回腸
回腸下部の粘膜固有層には小判状(長さ2〜4cm)の集合リンパ小節であるパイエル板が多数認められ、腸管関連リンパ組織(GALT)の代表的構造として機能する。パイエル板をおおう粘膜上皮中のM細胞が腸管内腔の異物・抗原を取り込み、内側で待機するマクロファージとリンパ球に抗原提示する。増殖したB細胞は形質細胞に分化し、腸管内腔へ分泌型IgAを放出して局所免疫を担う。この局在は腸管内容物が長時間停滞し抗原曝露が多い部位ほどリンパ組織が発達するという合目的的配置の典型例である。
✗ 4. 誤り
虫垂
虫垂は盲腸から突出する細長い突起で、粘膜と粘膜下組織に豊富なリンパ小節を持ち「腹部の扁桃」とも呼ばれる。しかしその集合は壁全周に広がる独特の配列であり、回腸下部の小判状パイエル板とは形態が異なるため、典型的な集合リンパ小節=パイエル板の代表部位としては回腸が選ばれる。
ポイント
  • パイエル板(集合リンパ小節)は回腸下部に多く存在し、腸管免疫の中枢をなす。
  • 覚え方のコツ: 「パイエル板=回腸の“パイ(pie)”形リンパ組織」と語呂で覚え、回腸下部と紐付ける。
  • 関連知識: パイエル板上のM細胞が抗原を取り込み、形質細胞が分泌型IgAを産生して粘膜免疫を担う。孤立リンパ小節は小腸全体に散在する。
  • よくある間違い: 「十二指腸=ブルンナー腺/回腸=パイエル板」を混同する/胃や大腸にパイエル板があると思い込む。
  • 臨床応用: 腸チフス(チフス菌)はパイエル板に好発し、潰瘍形成から腸管穿孔・腹膜炎を起こすため回腸下部が病変好発部位となる。
比較表
部位 粘膜下腺 リンパ組織の特徴
胃腺 孤立リンパ小節のみ(少数)
十二指腸 ブルンナー腺(十二指腸腺) 孤立リンパ小節
空腸 なし 孤立リンパ小節
回腸(下部) なし パイエル板(集合リンパ小節)多数
虫垂 なし 壁全周にリンパ小節(腹部の扁桃)
解説画像
鍼灸 第1回(1993) 問題21|パイエル板(集合リンパ小節)があるのはどれか。 解説図
鍼灸 第1回(1993) 問題21|パイエル板(集合リンパ小節)があるのはどれか。
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