学習トップ理由で解く 解剖学第4章 ▸ E. 胃 / Q0289

理由で解く 解剖学

Q0289 消化器系

出典:あマ指 第19回(2011) 問題24
問題
胃について正しい記述はどれか。
選択肢
1 噴門には括約筋がある。
2 胃底は横隔膜の直下にある。
3 大網は小弯と肝臓の間にある。
4 上腸間膜動脈によって栄養される。
解答
正解2(胃底は横隔膜の直下にある。)
解説
✗ 1. 誤り
噴門には括約筋がある。
噴門部には解剖学的に明瞭な輪走筋の肥厚による括約筋は存在しない。食道下端の下部食道括約筋(機能的括約帯)と横隔膜脚、食道胃接合部のHis角などによる機能的括約機構で逆流を防いでいる。明瞭な輪走筋肥厚による括約筋があるのは幽門(幽門括約筋)である。
✓ 2. 正しい
胃底は横隔膜の直下にある。
噴門を入ると胃は大きく左にふくれ、その天井はドーム状となって胃底を形成し、この部位は左横隔膜の直下に位置する。立位のX線像では胃底部に空気が溜まって「胃泡」として黒く抜けて描出されるのが特徴で、左側横隔膜下の透亮像として観察される。解剖学的には脾臓や左腎上極とも近接し、左胸腔とは横隔膜を介して接している。食道裂孔ヘルニアでは胃底部が横隔膜裂孔を越えて胸腔側に脱出することがあるため、胃底と横隔膜の位置関係は臨床上も重要な知識である。
✗ 3. 誤り
大網は小弯と肝臓の間にある。
小弯と肝臓の間に張られる胃間膜は小網である。大網は大弯側で前後の腹膜が合して前掛け状に垂れ下がり、腹部内臓の前面をおおい、折れ返って横行結腸に付着する。「小弯+肝臓=小網/大弯+横行結腸=大網」と整理する。
✗ 4. 誤り
上腸間膜動脈によって栄養される。
胃を栄養する動脈は主に腹腔動脈の枝(左胃動脈・総肝動脈から分岐する右胃動脈・胃十二指腸動脈・脾動脈から分岐する左右胃大網動脈と短胃動脈)である。上腸間膜動脈は主に小腸と右側大腸を栄養する動脈で、胃への直接的な栄養はない。
ポイント
  • 胃底はドーム状に上方へ膨れた部分で左横隔膜の直下にあり、立位X線で胃泡として観察される。
  • 覚え方のコツ: 胃間膜は「小弯→小網→肝臓」「大弯→大網→横行結腸」の2ラインで整理。栄養血管は「胃=腹腔動脈の枝」と大きく押さえる。
  • 関連知識: 胃を栄養する主な動脈は左胃動脈(腹腔動脈直接分枝)、右胃動脈(総肝動脈の枝)、左右胃大網動脈(脾動脈・胃十二指腸動脈の枝)、短胃動脈(脾動脈の枝)。
  • よくある間違い: 噴門に輪走筋の括約筋があると誤認/大網と小網を入れ替える/胃が上腸間膜動脈で栄養されると誤解する。
  • 臨床応用: 胃癌手術時にはリンパ節郭清のため腹腔動脈の各分枝に沿って剥離する。食道裂孔ヘルニアでは胃底が胸腔内に脱出し、GERDの原因となる。
比較表
胃間膜 付着部位 走行
小網 小弯 ↔ 肝臓 肝胃間膜・肝十二指腸間膜を含む
大網 大弯 ↔ 横行結腸 前掛け状に内臓前面に垂れ下がる
解説画像
あマ指 第19回(2011) 問題24|胃について正しい記述はどれか。 解説図
あマ指 第19回(2011) 問題24|胃について正しい記述はどれか。
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