学習トップ理由で解く 解剖学第4章 ▸ E. 胃 / Q0288

理由で解く 解剖学

Q0288 消化器系

出典:あマ指 第16回(2008) 問題23
問題
胃について正しい記述はどれか。
選択肢
1 食道から胃への入口を噴門とよぶ。
2 下部を胃底とよぶ。
3 主細胞は塩酸を分泌する。
4 パイエル板がみられる。
解答
正解1(食道から胃への入口を噴門とよぶ。)
解説
✓ 1. 正しい
食道から胃への入口を噴門とよぶ。
胃は食道に続く袋状の器官で、入り口を噴門(cardia)、十二指腸への出口を幽門(pylorus)という。噴門は第11胸椎付近に位置し、食道下部の下部食道括約筋(機能的括約帯)と横隔膜脚、食道胃接合部の鋭角(His角)が協調して胃内容物の食道への逆流を防ぐ。ここには明瞭な解剖学的弁構造はなく、機能的な括約機構で閉鎖される点が特徴である。噴門を入ると胃は大きく左にふくれてドーム状の胃底となる。「噴門=食道接続/幽門=十二指腸接続」という対応を確実に押さえておく必要がある。
✗ 2. 誤り
下部を胃底とよぶ。
胃底は胃の上方へドーム状に膨れ出た部分で、横隔膜の直下に位置する。名称が「底」であるが解剖学的には上方に位置する点が紛らわしい。胃の下部(十二指腸寄り)は幽門前庭および幽門と呼ばれる。
✗ 3. 誤り
主細胞は塩酸を分泌する。
主細胞が分泌するのはペプシノゲン(蛋白分解酵素ペプシンの前駆体)で、塩酸(胃酸)を分泌するのは壁細胞である。壁細胞は塩酸に加えてビタミンB12の吸収に必要な内因子も分泌し、副細胞は粘液を分泌する。
✗ 4. 誤り
パイエル板がみられる。
パイエル板(集合リンパ小節)は小腸、特に回腸下部の粘膜固有層に多く存在するリンパ組織で、胃には存在しない。胃粘膜のリンパ組織はびまん性に散在する程度で、パイエル板のような小判状の集合リンパ小節は形成されない。
ポイント
  • 噴門は食道から胃への入り口、幽門は胃から十二指腸への出口であり、胃は噴門→胃底→胃体→幽門前庭→幽門の順に区分される。
  • 覚え方のコツ: 「噴門=上(食道)/幽門=下(十二指腸)」で口側・肛門側の入出口を対応づける。噴は「噴水のように食物が噴き出す」、幽は「幽かな狭い出口」と連想する。
  • 関連知識: 胃底腺の細胞は主細胞(ペプシノゲン)・壁細胞(塩酸+内因子)・副細胞(粘液)の3種類+ECL細胞(ヒスタミン)。パイエル板は回腸下部に多い。
  • よくある間違い: 噴門と幽門を逆に覚える/胃底を下部と誤解する/主細胞と壁細胞の分泌物を取り違える/パイエル板を胃にあると誤認する。
  • 臨床応用: 噴門部の下部食道括約筋の機能低下は胃食道逆流症(GERD)の原因となり、胸やけ・呑酸を引き起こす。食道裂孔ヘルニアはこの機能をさらに低下させる。
比較表
胃底腺の細胞 分泌物 機能
主細胞 ペプシノゲン 胃酸で活性化されペプシンとなり蛋白を分解
壁細胞 塩酸・内因子 殺菌・ペプシン活性化・ビタミンB12吸収
副細胞 粘液 胃粘膜の保護
ECL細胞 ヒスタミン 壁細胞を刺激して胃酸分泌を促進
解説画像
あマ指 第16回(2008) 問題23|胃について正しい記述はどれか。 解説図
あマ指 第16回(2008) 問題23|胃について正しい記述はどれか。
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