学習トップ理由で解く 解剖学第4章 ▸ C. 咽頭 / Q0277

理由で解く 解剖学

Q0277 消化器系

出典:鍼灸 第28回(2020) 問題30
問題
嚥下について正しいのはどれか。
選択肢
1 嚥下中枢は脊髄にある。
2 口腔相では舌を使って食塊を喉頭に送る。
3 咽頭相では咽頭から鼻腔への出口は閉鎖される。
4 食道相では随意運動によって食塊が輸送される。
解答
正解3(咽頭相では咽頭から鼻腔への出口は閉鎖される。)
解説
✗ 1. 誤り
嚥下中枢は脊髄にある。
嚥下中枢は脊髄ではなく延髄(橋下部を含む脳幹)の孤束核・疑核周囲に存在する。脊髄に嚥下中枢を置くと頭頸部筋群(舌・咽頭・喉頭)の協調が物理的に困難である。脳幹梗塞(延髄外側症候群など)では嚥下障害(球麻痺)を来し、誤嚥性肺炎のリスクが増大する。
✗ 2. 誤り
口腔相では舌を使って食塊を喉頭に送る。
口腔相(第1相)では舌を使って食塊を口腔後方から咽頭(喉頭ではない)へ送り込む。喉頭は気道側の構造で食塊の通路ではないため、咽頭と喉頭の取り違えが誤りの本質である。口腔相は随意運動で意識的に開始される。
✓ 3. 正しい
咽頭相では咽頭から鼻腔への出口は閉鎖される。
咽頭相(第2相)は食塊が咽頭に入ると延髄の嚥下中枢を介して反射的に惹起される不随意相である。この相では鼻腔・口腔・喉頭という「3つの出口」が同時に閉鎖される。具体的には軟口蓋が挙上して鼻咽腔(咽頭から鼻腔への出口)を閉じ、舌根が挙上して口腔への逆流を防ぎ、喉頭全体が挙上して喉頭蓋が喉頭口にかぶさり誤嚥を防ぐ。この3つの閉鎖は連動しており、軟口蓋閉鎖不全(口蓋裂など)では液体が鼻から漏れる鼻咽腔逆流を来す。したがって「咽頭相では咽頭から鼻腔への出口は閉鎖される」は正しい記述で、嚥下生理の基本を問う重要ポイントである。
✗ 4. 誤り
食道相では随意運動によって食塊が輸送される。
食道相(第3相)では随意運動ではなく、食道壁の蠕動運動(不随意運動)によって食塊が胃へ輸送される。食道上部1/3は骨格筋だが嚥下開始後は反射的に収縮し、中部以下の平滑筋とともに迷走神経支配で順次蠕動する。随意的制御下ではない点が誤りの本質である。
ポイント
  • 嚥下は口腔相(随意)・咽頭相(反射)・食道相(蠕動)の3相。咽頭相で鼻腔・口腔・喉頭の3出口が同時閉鎖される。
  • 覚え方のコツ: 「咽頭相=3つの閉鎖(鼻・口・喉)」と覚える。嚥下中枢は延髄(脳幹)と押さえる。
  • 関連知識: 咽頭相の閉鎖機構—軟口蓋挙上(鼻咽腔閉鎖)・舌根挙上(口腔逆流防止)・喉頭挙上+喉頭蓋倒れ込み(喉頭口閉鎖)。同時に呼吸は嚥下性無呼吸で停止。
  • よくある間違い: 嚥下中枢を脊髄と誤認、食道相を随意運動と誤認、咽頭相で「喉頭のみ閉鎖」と部分的にしか答えられない。
  • 臨床応用: 延髄外側症候群(Wallenberg症候群)では疑核障害により咽頭・喉頭筋麻痺を来し、嚥下障害(球麻痺)と誤嚥性肺炎のリスク増大。
比較表
随意/不随意 主な運動
口腔相(第1相) 随意 舌で食塊を咽頭へ送り込む
咽頭相(第2相) 反射(不随意) 軟口蓋挙上(鼻咽腔閉鎖)・喉頭挙上・喉頭蓋倒れ込み
食道相(第3相) 蠕動(不随意) 食道壁の順次収縮で胃へ輸送
解説画像
鍼灸 第28回(2020) 問題30|嚥下について正しいのはどれか。 解説図
鍼灸 第28回(2020) 問題30|嚥下について正しいのはどれか。
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