学習トップ理由で解く 解剖学第2章 ▸ C. 動脈系 / Q0141

理由で解く 解剖学

Q0141 循環器系

出典:鍼灸 第28回(2020) 問題29
問題
呼吸運動を促進するのはどれか。
選択肢
1 体温の低下
2 血中水素イオン濃度の減少
3 血中酸素分圧の増加
4 大動脈小体の興奮
解答
正解4(大動脈小体の興奮)
解説
✗ 1. 誤り
体温の低下
発熱などで体温が上昇すると代謝亢進によりCO₂産生・O₂消費が増え、これに応じて呼吸中枢が賦活されて呼吸運動が促進する。逆に体温低下では代謝低下とともに呼吸運動も抑制方向に働くため、呼吸促進因子には当たらない。
✗ 2. 誤り
血中水素イオン濃度の減少
血中H⁺濃度減少(アルカローシス)は延髄中枢化学受容器および末梢化学受容器の刺激低下をまねき、呼吸を抑制する。呼吸が促進するのは「H⁺濃度上昇(アシドーシス)」のときであり、問題文の「減少」は呼吸抑制に働く。
✗ 3. 誤り
血中酸素分圧の増加
動脈血酸素分圧(PaO₂)の上昇は末梢化学受容器(頸動脈小体・大動脈小体)の刺激を減弱させ、呼吸を抑制する。呼吸促進は逆に「O₂分圧低下(低酸素血症)」で生じる(とくにPaO₂<60 mmHgで顕著)。
✓ 4. 正しい
大動脈小体の興奮
大動脈小体は大動脈弓の壁にある末梢化学受容器で、動脈血の低O₂・高CO₂・高H⁺(低pH)に応答して興奮し、迷走神経求心路を介して延髄呼吸中枢に刺激を伝え、呼吸運動を促進する。類似構造の頸動脈小体(総頸動脈分岐部)は舌咽神経求心路を介して同様に働く。両者は圧受容器である「大動脈洞」「頸動脈洞(循環調節)」とは異なる受容器である点に注意する。大動脈小体興奮は呼吸促進因子の代表例である。
ポイント
  • 呼吸促進因子:PaCO₂上昇、PaO₂低下、H⁺上昇(アシドーシス)、体温上昇、大動脈小体・頸動脈小体の興奮。
  • 覚え方のコツ: 「苦しい身体は吸いたがる」。O₂不足・CO₂過剰・酸性・発熱はすべて呼吸促進。
  • 関連知識: 末梢化学受容器は大動脈弓壁(大動脈小体:迷走神経)と総頸動脈分岐部(頸動脈小体:舌咽神経)にあり、低O₂感受性は末梢受容器特有。中枢化学受容器(延髄腹側)はH⁺(≒PaCO₂)に応答。
  • よくある間違い: 「大動脈洞=呼吸」「頸動脈小体=圧」と混同する。化学受容器と圧受容器の対応は「小体=化学」「洞=圧」で覚える。
  • 臨床応用: COPD重症例ではCO₂慢性上昇により中枢化学受容器が鈍化し、末梢化学受容器(低O₂感受性)が主たる換気駆動源となる(CO₂ナルコーシス予防のため高濃度酸素投与を避ける所以)。
比較表
受容器 部位 求心神経 主な刺激 調節対象
大動脈小体 大動脈弓壁 迷走神経 低O₂・高CO₂・酸性 呼吸(化学受容)
頸動脈小体 総頸動脈分岐部 舌咽神経 低O₂・高CO₂・酸性 呼吸(化学受容)
大動脈洞 大動脈弓壁 迷走神経 血圧変化(伸展) 循環(圧受容)
頸動脈洞 内頸動脈起始部 舌咽神経 血圧変化(伸展) 循環(圧受容)
解説画像
鍼灸 第28回(2020) 問題29|呼吸運動を促進するのはどれか。 解説図
鍼灸 第28回(2020) 問題29|呼吸運動を促進するのはどれか。
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 解剖学
App Store入手