学習トップ理由で解く 解剖学第3章 ▸ D. 肺・胸膜・縦隔 / Q0255

理由で解く 解剖学

Q0255 呼吸器系

出典:あマ指 第34回(2026) 問題18
問題
肺について正しいのはどれか。
選択肢
1 肋間動脈に栄養される。
2 左肺は右肺より大きい。
3 肺尖は鎖骨と同じ高さにある。
4 肺底は横隔膜に接する。
解答
正解4(肺底は横隔膜に接する。)
解説
✗ 1. 誤り
肋間動脈に栄養される。
肺の栄養血管は肋間動脈ではなく気管支動脈で、胸大動脈から直接(または肋間動脈と共通幹として)分岐し肺門から肺内へ入る。肋間動脈は胸大動脈から分岐して肋間筋・壁側胸膜・皮膚などを栄養する血管で、肺実質そのものを養うものではない。
✗ 2. 誤り
左肺は右肺より大きい。
左肺は右肺より大きいのではなく、むしろ小さい。左肺は心臓が胸腔の左側へ偏って存在するため圧排され、容積は約1,000ml・重さ約500g。一方右肺は容積約1,200ml・重さ約600gで一回り大きい。大小の比較が逆転した誤答である。
✗ 3. 誤り
肺尖は鎖骨と同じ高さにある。
肺尖は鎖骨と同じ高さではなく、鎖骨の上方2〜3cmまで達する。胸郭上口を越えて頸部下端(大鎖骨上窩付近)まで突出しているため、この位置関係は国試では頻出である。鎖骨と同じ高さでは肺の頂点より下方にあたる。
✓ 4. 正しい
肺底は横隔膜に接する。
肺底は肺の下面で、ドーム状に盛り上がった横隔膜の上面に乗るように密接している。安静吸気時に横隔膜が収縮して平坦化すると、肺底が下方へ引き下げられて胸腔容積が増大し吸気が駆動される。この肺底と横隔膜の密な接触は腹式呼吸における横隔膜運動が肺拡張・収縮に直結する機構であり、安静時呼吸の約70%を担う主要な換気機序である。肺底の凹面は横隔膜のドーム形状に一致して形成されており、肝臓・胃・脾臓などの上腹部臓器とは横隔膜を介して上下に位置する。
ポイント
  • 肺底は横隔膜上面に接して凹面をなし、横隔膜の上下運動によって受動的に引き下ろされ・押し上げられる。安静時換気の主役は横隔膜運動であり、肺底と横隔膜の密接が呼吸駆動の解剖学的基盤となる。
  • 覚え方のコツ: 肺の位置関係「上は鎖骨より上、下は横隔膜、内は縦隔、外は肋骨」の4面で空間把握。「肺尖=頸部/肺底=腹との境」と上下対比。右肺>左肺=「心臓のある側は小さい」で記憶。
  • 関連知識: 横隔膜の3つの裂孔(Th8:大静脈孔、Th10:食道裂孔、Th12:大動脈裂孔)は縦隔と腹腔を連絡する。肺底の外側下縁と壁側胸膜の反転部は肋骨横隔洞を形成し、胸水が仰臥位で最も貯留する部位。
  • よくある間違い: 肺の栄養血管を肋間動脈や肺動脈と誤答する/右肺と左肺の大小を逆に覚える/肺尖を鎖骨と同じ高さと誤認する/肺底を縦隔面(内側面)や腹腔臓器と直接接すると混同する。
  • 臨床応用: 横隔膜麻痺(横隔神経障害:頸髄C3〜C5レベル損傷・神経圧排腫瘍)では患側の肺底の下降制限が生じ、換気障害・無気肺を来す。腹式呼吸(横隔膜呼吸)は肺機能低下時のリハビリテーションで有用で、肺底部換気を効率化する。
解説画像
あマ指 第34回(2026) 問題18|肺について正しいのはどれか。 解説図
あマ指 第34回(2026) 問題18|肺について正しいのはどれか。
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