学習トップ理由で解く 解剖学第3章 ▸ D. 肺・胸膜・縦隔 / Q0253

理由で解く 解剖学

Q0253 呼吸器系

出典:あマ指 第27回(2019) 問題21
問題
肺について正しいのはどれか。
選択肢
1 肺尖は鎖骨の高さにある。
2 肺底は縦隔に面している。
3 栄養血管は気管支動脈である。
4 右肺は2 葉に分かれる。
解答
正解3(栄養血管は気管支動脈である。)
解説
✗ 1. 誤り
肺尖は鎖骨の高さにある。
肺尖は鎖骨と同じ高さではなく、鎖骨の上方2〜3cmまで達する。胸郭上口を越えて頸部下端(大鎖骨上窩付近)まで突出するため、鎖骨の上方で頸部下部まで及ぶのが正しい位置関係である。
✗ 2. 誤り
肺底は縦隔に面している。
肺底は肺の下面で、凹面を呈して横隔膜上面に接している。縦隔に面するのは肺の内側面(縦隔面)であり、肺門がここに開口する。肺底と縦隔面は全く別の面であり、肺底が縦隔に面するという記述は誤りである。
✓ 3. 正しい
栄養血管は気管支動脈である。
肺には機能血管と栄養血管の二重支配があり、栄養血管は胸大動脈から分岐する気管支動脈である。気管支動脈は気管支壁・肺間質・臓側胸膜などに酸素を豊富に含む動脈血を供給する。一方、肺動脈は右心室から肺胞毛細血管へ静脈血を運びガス交換を担う機能血管である。肺動脈は肺実質を栄養するのではなくあくまで「運搬の血管」であり、肺組織そのものを養うのは気管支動脈である点が頻出の鑑別ポイントとなる。
✗ 4. 誤り
右肺は2 葉に分かれる。
右肺は2葉ではなく3葉(上葉・中葉・下葉)に分かれる。水平裂と斜裂の2本の裂を持ち、上葉と中葉は水平裂で、上・中葉と下葉は斜裂で境される。2葉になるのは左肺であり、左右の葉数を取り違えた誤答選択肢である。
ポイント
  • 肺は機能血管(肺動脈:ガス交換用)と栄養血管(気管支動脈:組織栄養用)の二重支配を受ける。栄養血管である気管支動脈は胸大動脈から分岐し、気管支・肺間質・臓側胸膜に動脈血を供給する。
  • 覚え方のコツ: 「機能=肺動脈/栄養=気管支動脈」と二択で対比。胸大動脈から分岐「気管支動脈は胸大動脈の枝」で起始を固定。「肺動脈は肺胞で働く、気管支動脈は気管支を養う」で役割分担を意識。
  • 関連知識: 気管支動脈は胸大動脈から直接、または肋間動脈との共通幹として分岐し、肺門から肺に入り気管支分岐に伴走する。気管支静脈は一部が奇静脈・半奇静脈に、一部は肺静脈に注ぎ(生理学的シャントを形成)、左心房へ還流する。
  • よくある間違い: 肺の栄養血管を肺動脈と誤認する/気管支動脈を気管支静脈と取り違える/肋間動脈を肺の栄養血管と誤答する/肺底と縦隔面(内側面)を混同する。
  • 臨床応用: 肺塞栓症では肺動脈が閉塞しても気管支動脈からの側副血行により肺梗塞が免れることが多く、肺梗塞の発生率は比較的低い。喀血の原因の多くは肺動脈ではなく体循環圧の高い気管支動脈由来で、気管支動脈塞栓術(BAE)が止血治療として行われる。
比較表
血管 機能 起始 血液
肺動脈 機能血管(ガス交換) 右心室 静脈血 低圧(収縮期約25mmHg)
気管支動脈 栄養血管(組織栄養) 胸大動脈 動脈血 体循環圧(高圧)
肺静脈 機能血管(左心房還流) 肺毛細血管→左心房 動脈血 低圧
気管支静脈 栄養血管還流 肺→奇静脈系/肺静脈 静脈血 低圧
解説画像
あマ指 第27回(2019) 問題21|肺について正しいのはどれか。 解説図
あマ指 第27回(2019) 問題21|肺について正しいのはどれか。
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