学習トップ理由で解く 解剖学第3章 ▸ D. 肺・胸膜・縦隔 / Q0252

理由で解く 解剖学

Q0252 呼吸器系

出典:あマ指 第22回(2014) 問題26
問題
肺について正しいのはどれか。
選択肢
1 右肺は 2 葉に分かれる。
2 区域気管支には軟骨がある。
3 肺尖は鎖骨と同じ高さである。
4 左右の肺の壁側胸膜に挟まれた領域を胸膜腔という。
解答
正解2(区域気管支には軟骨がある。)
解説
✗ 1. 誤り
右肺は 2 葉に分かれる。
右肺は2葉ではなく3葉(上葉・中葉・下葉)に分かれる。水平裂が上葉と中葉を、斜裂が上・中葉と下葉を境する。2葉に分かれるのは左肺であり、左右の葉数を取り違えた記述は誤り。
✓ 2. 正しい
区域気管支には軟骨がある。
気管支は気管・主気管支・肺葉気管支・区域気管支まで壁内に軟骨を持つ。気管と主気管支は馬蹄形の軟骨輪であるが、肺葉気管支・区域気管支では軟骨板(不整形の軟骨片)として存在する。その先の気管支枝でも軟骨は次第に減少し、直径約1mm以下で軟骨を失って「細気管支」と呼ばれるようになる。区域気管支まで軟骨が残ることは、肺区域切除術の解剖学的境界を規定する重要ポイントである。
✗ 3. 誤り
肺尖は鎖骨と同じ高さである。
肺尖は鎖骨と同じ高さではなく、鎖骨の上方2〜3cmまで達する。胸郭上口を越えて頸部下端(大鎖骨上窩付近)まで突出するため、鎖骨と同じ高さでは肺の頂点ではなく肺上葉の前縁付近にあたる。
✗ 4. 誤り
左右の肺の壁側胸膜に挟まれた領域を胸膜腔という。
胸膜腔は左右の肺の壁側胸膜に挟まれた領域ではなく、各肺ごとに臓側胸膜と壁側胸膜の間に形成される密閉空間である。左右それぞれ独立した胸膜腔を持ち、一方が気胸になっても原則として他方へは波及しない。左右肺の間の空間を指すのは胸膜腔ではなく縦隔である。
ポイント
  • 気道の軟骨は気管・主気管支・肺葉気管支・区域気管支まで存在し、区域気管支より末梢で直径約1mm以下になると軟骨を失い「細気管支」となる。軟骨の有無は気管支と細気管支の区別点。
  • 覚え方のコツ: 軟骨境界「気管→主気管支→葉気管支→区域気管支(軟骨あり)|細気管支(軟骨なし)」と階層で暗記。「細気管支から先は軟骨なし・平滑筋で太さ調節」=喘息発作は平滑筋性の細気管支けいれん、で臨床とつなぐ。
  • 関連知識: 気道上皮は気管〜細気管支まで多列線毛円柱上皮(杯細胞を伴う)、終末細気管支で単層円柱〜単層立方、呼吸細気管支以降で扁平化し肺胞上皮へ移行する。細気管支以遠には杯細胞も基本的に存在しない。
  • よくある間違い: 区域気管支で軟骨が無くなると思い込む(区域気管支までは軟骨あり)/肺尖を鎖骨と同高と誤答する/胸膜腔と縦隔を混同する(縦隔が左右肺の間、胸膜腔は肺を包む腔)。
  • 臨床応用: 気管支喘息では細気管支(軟骨を持たない)の平滑筋が収縮・痙攣し気道狭窄をきたす。軟骨のない細気管支は外部からの支持が弱いため、呼気時に虚脱しやすく閉塞性換気障害(COPD・喘息)の病態生理に直結する。
比較表
気道階層 軟骨 平滑筋 上皮
気管・主気管支 あり(馬蹄形軟骨輪) あり(膜性壁) 多列線毛円柱上皮
肺葉・区域気管支 あり(軟骨板) あり 多列線毛円柱上皮
細気管支 なし 豊富 単層円柱〜立方上皮
終末細気管支 なし あり 単層立方上皮
呼吸細気管支以遠 なし 単層扁平(肺胞上皮)
解説画像
あマ指 第22回(2014) 問題26|肺について正しいのはどれか。 解説図
あマ指 第22回(2014) 問題26|肺について正しいのはどれか。
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