
この図の解説
図は胸腺の断面を拡大したもので、外側を線維被膜がつつみ、小葉間中隔が実質を区画している。まず注目すべきは、外周側にリンパ球が密集して濃く見える皮質と、その内側の明るい髄質という二層構造である。皮質には幼弱なT細胞と皮質上皮細胞、髄質には成熟しつつあるT細胞・樹状細胞・髄質上皮細胞・マクロファージが描かれる。骨髄で生まれたTリンパ球前駆細胞は皮質から入り、右上の「2段階選抜試験」に示すように、自己MHCを正しく認識できる細胞だけが残る正の選択と、自己抗原に強く反応する細胞を除く負の選択を経て、髄質から成熟T細胞として血管へ送り出される。左上のMHC拘束性の図は、抗原提示細胞のMHCに載った抗原をT細胞のTCRが認識する仕組みを示し、選抜試験の土台となる。リンパ小節が無く、リンパ管が直接出入りしない点も他のリンパ系器官との重要な違いである。
学習の要点
- 胸腺はT細胞を分化・成熟させる第一次(中枢)リンパ性器官で、内部は外側の皮質(リンパ球密集で濃い)と内側の髄質(明るい)に分かれる。
- 覚え方のコツ:皮質は「幼弱なT細胞がぎっしり=暗い」、髄質は「選抜を終えた成熟T細胞がまばら=明るい」。T細胞のTはThymus(胸腺)のT。
- 関連知識:T細胞前駆細胞は骨髄で生まれて胸腺に入り成熟する。B細胞は骨髄で成熟し、リンパ節や脾臓のリンパ小節(胚中心)で働く。
- よくある間違い:胸腺は細網組織からなるリンパ系器官だが、内部にリンパ小節を認めず、リンパ管も直接出入りしない。「リンパ小節がある」は誤り。
- 臨床応用:胸腺は思春期以降退縮し、老人では大部分が脂肪組織に置き換わる。新生児期に切除すると全身のリンパ系器官が発達せず抗体産生もできない。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
胸腺で分化・成熟するリンパ球は( )リンパ球であり、その頭文字は胸腺の学名に由来する。空欄に入る語を答えよ。
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答え: T
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。