学習トップ理由で解く 解剖学第2章 ▸ F. リンパ系 / Q0181

理由で解く 解剖学

Q0181 循環器系

出典:あマ指 第33回(2025) 問題17
問題
胸管について正しいのはどれか。
選択肢
1 腸リンパ本幹に始まる。
2 前縦隔を走行する。
3 大静脈孔を通る。
4 左静脈角に注ぐ。
解答
正解4(左静脈角に注ぐ。)
解説
✗ 1. 誤り
腸リンパ本幹に始まる。
胸管は腰リンパ本幹と腸リンパ本幹の合流によりできた乳び槽を起始とする。腸リンパ本幹だけでは胸管は始まらず、下半身(腰)と腸管(腸)の両ルートが合わさって乳び槽→胸管と移行するのが正確な経路である。
✗ 2. 誤り
前縦隔を走行する。
胸管は脊柱の前面に沿い、腹大動脈・奇静脈とともに横隔膜の大動脈裂孔を抜けてから後縦隔を上行する。「前縦隔」は胸骨と心膜の間の狭い間隙で胸腺残遺やリンパ節などを含む領域であり、胸管はここを走らない。胸管は後縦隔に属する。
✗ 3. 誤り
大静脈孔を通る。
胸管は「大動脈裂孔」を腹大動脈・奇静脈とともに通過する。大静脈孔は横隔膜の腱中心にあり下大静脈のみが通る孔で、胸管は通過しない。大動脈裂孔と大静脈孔、食道裂孔の3孔を整理しておくと混同を防げる。
✓ 4. 正しい
左静脈角に注ぐ。
胸管は後縦隔を脊柱前面に沿って上行し、胸郭上口を抜けて左の静脈角(左内頸静脈と左鎖骨下静脈の合流部)に注ぐ。静脈角付近で左頸リンパ本幹と左鎖骨下リンパ本幹も合流する。右上半身のリンパは胸管ではなく右リンパ本幹を経て右静脈角に注ぐ。
ポイント
  • 胸管の走行4点セット:①乳び槽から起こる ②大動脈裂孔を通り後縦隔を上行 ③胸郭上口を抜ける ④左静脈角に注ぐ。
  • 覚え方のコツ: 横隔膜の3つの孔「大動脈裂孔=大動脈・奇静脈・胸管」「食道裂孔=食道・迷走神経」「大静脈孔=下大静脈」と組でセット暗記。
  • 関連知識: 胸管は長さ約40cmで弁を持ち、食後は乳びを大量に含むため白濁し肉眼的にも視認できる。胸郭上口付近では気管と食道の後方を左へカーブする。
  • よくある間違い: 胸管の起始を「腸リンパ本幹のみ」と覚える/縦隔の区分(前・中・後)を取り違える。胸管は心臓の裏=後縦隔を走る点を押さえる。
  • 臨床応用: 胸管損傷(食道癌・肺癌手術の合併症)では乳び胸(白濁した胸水)が生じる。治療では長鎖脂肪酸を制限し中鎖脂肪酸主体の食事とする(乳び産生低減)。
比較表
横隔膜の孔 通過する主な構造
大静脈孔(腱中心) 下大静脈
食道裂孔 食道・迷走神経(前後迷走神経幹)
大動脈裂孔 腹大動脈・奇静脈・胸管
解説画像
あマ指 第33回(2025) 問題17|胸管について正しいのはどれか。 解説図
あマ指 第33回(2025) 問題17|胸管について正しいのはどれか。
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