学習トップ理由で解く 解剖学第2章 ▸ E. 胎児循環 / Q0168

理由で解く 解剖学

Q0168 循環器系

出典:あマ指 第1回(1993) 問題38
問題
正しいのはどれか。
選択肢
1 臍静脈は成人では肝円索となっている。
2 臍帯には2 本の静脈と1 本の動脈とが走行している。
3 胎児の血流は胎盤の絨毛で母体の血流と交通する。
4 胎児の肺静脈は動脈管によって大動脈と交通する。
解答
正解1(臍静脈は成人では肝円索となっている。)
解説
✓ 1. 正しい
臍静脈は成人では肝円索となっている。
胎児の臍静脈は胎盤からの酸素豊富な動脈血を肝臓・下大静脈方向に運ぶ管で、出生後に胎盤循環が途絶えると閉塞し、結合組織性の索状物=「肝円索」となる。肝円索は臍から肝下面を通って肝門に至り、肝鎌状間膜の遊離縁内を走る。胎児循環の遺残構造として解剖学的に保存され、門脈圧亢進症の際には再開通することがある(臍周囲静脈怒張=メデューサの頭)。
✗ 2.
臍帯には2 本の静脈と1 本の動脈とが走行している。
臍帯には「2本の臍動脈と1本の臍静脈」が走行しており、本選択肢は動静脈の本数が逆である。臍動脈は胎児から胎盤へ静脈血を運び、臍静脈は胎盤から胎児へ動脈血を運ぶ。覚え方は「2動脈1静脈」。
✗ 3.
胎児の血流は胎盤の絨毛で母体の血流と交通する。
胎盤では胎児血と母体血は絨毛膜を介して隣接するが、直接交通することはない。胎児血と母体血は絨毛の薄い組織層を隔てて物質交換(ガス・栄養・老廃物)が行われる間接的接触のみで、両血流が直接混ざり合うことはない。交通すれば血液型不適合などの重大問題が生じる。
✗ 4.
胎児の肺静脈は動脈管によって大動脈と交通する。
動脈管(ボタロー管)は「肺動脈」と「大動脈弓」を結ぶ連絡路で、肺静脈と大動脈を結ぶのではない。胎児では肺呼吸がないため、右室から肺動脈に送られた血液の大部分は動脈管を経て大動脈弓に流れ込み、肺循環をバイパスする。
ポイント
  • 胎児の臍静脈は出生後に閉塞し肝円索となる。臍動脈は閉塞して臍動脈索(内側臍索)になる。
  • 覚え方のコツ: 「臍帯=2動脈1静脈」「動脈管=肺動脈⇔大動脈弓」「静脈管=臍静脈→下大静脈」「卵円孔=右房→左房」をセットで覚える。
  • 関連知識: 胎児循環の4大バイパス構造は①胎盤②臍血管③動脈管④静脈管。出生後の遺残構造は臍静脈→肝円索、臍動脈→臍動脈索、動脈管→動脈管索、静脈管→静脈管索、卵円孔→卵円窩。
  • よくある間違い: 臍帯を「2静脈1動脈」と誤る/動脈管を肺静脈と結ぶと誤る/胎児血と母体血が直接混ざると誤解する。
  • 臨床応用: 肝円索は門脈圧亢進時に再開通し、臍周囲の側副血行(メデューサの頭)を形成する。動脈管開存症は出生後の代表的先天性心疾患。
比較表
胎児期 成人遺残 位置
臍静脈 肝円索 肝鎌状間膜内
臍動脈 臍動脈索(内側臍索) 腹壁内側
静脈管(アランチウス管) 静脈管索 肝内
動脈管(ボタロー管) 動脈管索 肺動脈と大動脈弓の間
卵円孔 卵円窩 心房中隔
解説画像
あマ指 第1回(1993) 問題38|正しいのはどれか。 解説図
あマ指 第1回(1993) 問題38|正しいのはどれか。
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