学習トップ理由で解く 解剖学第3章 ▸ D. 肺・胸膜・縦隔 / Q0256

理由で解く 解剖学

Q0256 呼吸器系

出典:あマ指 第1回(1993) 問題37
問題
縦隔を通過しないのはどれか。
選択肢
1 胸管
2 食道
3 迷走神経
4 肋間神経
解答
正解4(肋間神経)
解説
✗ 1.
胸管
✗ 正しい。 下半身および左上半身のリンパを集める人体最大のリンパ本幹で、腹腔の乳糜槽に始まり大動脈裂孔から縦隔後部に入る。胸椎前面を上行して左静脈角に注ぐため、後縦隔の主要構成要素として縦隔を通過する。
✗ 2.
食道
✗ 正しい。 頸部で咽頭に続き、胸腔では後縦隔を気管の背側に沿って下行する。胸部食道は縦隔の長軸を縦断する主要臓器であり、横隔膜の食道裂孔を貫通して腹部食道へ移行するため縦隔通過の代表格である。
✗ 3.
迷走神経
✗ 正しい。 頸静脈孔を出た後、頸部で総頸動脈と内頸静脈の間を下行して胸腔に入り、右は鎖骨下動脈の前、左は大動脈弓の前を通過して縦隔に進入する。食道と伴走して横隔膜を貫く最長の脳神経で、縦隔を確実に通過する。
✓ 4. 誤り
肋間神経
肋間神経は胸神経(T1〜T11)の前枝に相当する体性神経で、上下の肋骨の間の肋間腔(胸壁の側方~腹側)を肋間動静脈とともに走行する。走行経路は縦隔の外側であり、心臓・大血管・気管・食道・胸管を容れる縦隔内には入らない。分布域は肋間筋・胸壁および腹壁前面の皮膚感覚であり、胸郭内を走る臓器系とは解剖学的区画が異なる。なお、縦隔内を走る神経としては迷走神経・交感神経幹・横隔神経・反回神経などがあるのに対し、肋間神経は胸壁の壁側成分である点が鑑別の要となる。
ポイント
  • 縦隔は左右の胸膜腔に挟まれた胸郭中央の区画で、心臓・大血管・気管・食道・胸管・迷走神経・交感神経幹などを容れるが、肋間神経は肋間腔を走る壁側神経で縦隔外である。
  • 覚え方のコツ: 「縦隔=胸の真ん中の箱/肋間=あばらの間の溝」と解剖学的区画を二分して整理。迷走神経は唯一縦隔を縦断する脳神経、肋間神経は胸壁を横に走る脊髄神経と対比する。
  • 関連知識: 縦隔は胸骨角を通る平面で上縦隔・下縦隔に分けられ、下縦隔はさらに前・中・後縦隔に区分される。胸管と迷走神経・食道・大動脈は後縦隔の主構成要素である。
  • よくある間違い: 「胸部を走る神経」というだけで肋間神経も縦隔通過と誤認しやすい。肋間神経は壁側(胸壁内)を走り、縦隔(胸腔中央の内臓区画)には侵入しない点を区別する。
  • 臨床応用: 縦隔腫瘍(胸腺腫・神経原性腫瘍など)では胸管損傷による乳糜胸、反回神経麻痺による嗄声、食道圧迫による嚥下困難などが生じる。肋間神経痛は帯状疱疹で好発する。
解説画像
あマ指 第1回(1993) 問題37|縦隔を通過しないのはどれか。 解説図
あマ指 第1回(1993) 問題37|縦隔を通過しないのはどれか。
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