学習トップ理由で解く 解剖学第2章 ▸ D. 静脈系 / Q0154

理由で解く 解剖学

Q0154 循環器系

出典:鍼灸 第16回(2008) 問題26
問題
門脈の形成にかかわらないのはどれか。
選択肢
1 奇静脈
2 脾静脈
3 上腸間膜静脈
4 下腸間膜静脈
解答
正解1(奇静脈)
解説
✓ 1. 誤り
奇静脈
奇静脈は後胸壁の肋間静脈を集めて脊柱右側を上行し、最終的に上大静脈の後面に直接注ぐ体循環系の静脈であり、門脈の形成には全く関与しない。ただし門脈圧亢進時には食道下部の静脈叢を介して門脈血を受け入れる側副路として機能し、食道静脈瘤の発生経路となる点に注意。「門脈を構成する枝か」という観点では関与なしと判定するのが正解である。
✗ 2.
脾静脈
✗ 正しい。 脾静脈は脾臓・膵体尾部・胃大網からの血液を集め、膵頭後方で上腸間膜静脈と合流して門脈の本幹を形成する主要構成枝である。脾臓で破壊された赤血球由来のヘモグロビンは脾静脈→門脈→肝臓のルートでビリルビンとして胆汁に排泄されるため、肝機能と直結する。
✗ 3.
上腸間膜静脈
✗ 正しい。 上腸間膜静脈は空腸・回腸・上行結腸・横行結腸右半など中腸由来腸管からの静脈血を集め、膵頭部後方で脾静脈と合流して門脈を形成する門脈三大支流の一つ。栄養吸収血を肝臓に運ぶ主要ルートであり、グリコーゲン代謝や解毒の起点となる。
✗ 4.
下腸間膜静脈
✗ 正しい。 下腸間膜静脈は横行結腸左半・下行結腸・S状結腸・上部直腸からの血液を集め、多くは脾静脈へ合流して間接的に門脈を形成する枝である。下部直腸から肛門周囲では直腸静脈叢を介して内腸骨静脈(体循環)と吻合し、門脈圧亢進時の側副路となり痔核形成の背景となる。
ポイント
  • 門脈本幹は脾静脈・上腸間膜静脈・下腸間膜静脈の3本から形成される(下腸間膜静脈は多くの場合脾静脈に合流してから門脈に入る)。
  • 覚え方のコツ: 「脾・上腸間膜・下腸間膜=門脈3枝」と唱える。奇静脈は名前に「腸」も「脾」もなく体壁系の静脈なので門脈ではない、と視点を切替える。
  • 関連知識: 門脈は肝臓で毛細血管網(類洞)を形成したのち肝静脈→下大静脈へと注ぐ「毛細血管を2回通る」特殊な静脈系である。
  • よくある間違い: 奇静脈を門脈系の側副路と混同して門脈の「形成」枝と誤答する。側副路になるのは病的状態での話であり、正常の門脈構成枝ではない。
  • 臨床応用: 肝硬変で門脈圧が亢進すると、食道静脈叢(奇静脈ルート)・直腸静脈叢(内腸骨静脈ルート)・臍傍静脈(腹壁皮静脈ルート)の3経路が拡張し、食道静脈瘤・痔核・メデューサの頭を呈する。
比較表
門脈構成枝 集める領域 合流先
上腸間膜静脈 空腸・回腸・上行~横行結腸右半 脾静脈と合流し門脈本幹
脾静脈 脾臓・膵体尾部・胃大網 上腸間膜静脈と合流し門脈本幹
下腸間膜静脈 下行・S状結腸・上部直腸 通常は脾静脈に注ぐ
左右胃静脈 胃小弯 門脈本幹に直接
解説画像
鍼灸 第16回(2008) 問題26|門脈の形成にかかわらないのはどれか。 解説図
鍼灸 第16回(2008) 問題26|門脈の形成にかかわらないのはどれか。
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 解剖学
App Store入手