学習トップ理由で解く 解剖学第2章 ▸ C. 動脈系 / Q0133

理由で解く 解剖学

Q0133 循環器系

出典:鍼灸 第18回(2010) 問題23
問題
胸腹部の動脈について正しい記述はどれか。
選択肢
1 気管支動脈は上行大動脈から分枝する。
2 腹腔動脈は回腸に分布する。
3 上腸間膜動脈は直腸に分布する。
4 卵巣動脈は腹大動脈から分枝する。
解答
正解4(卵巣動脈は腹大動脈から分枝する。)
解説
✗ 1. 誤り
気管支動脈は上行大動脈から分枝する。
気管支動脈は胸大動脈(下行大動脈胸部)の前方から出る無対性の臓側枝で、気管支に沿って肺実質を養う栄養血管である。上行大動脈から分枝するのは冠状動脈のみ。
✗ 2. 誤り
腹腔動脈は回腸に分布する。
腹腔動脈は前腸由来臓器(胃・十二指腸上部・肝・胆嚢・膵・脾)を養い、回腸には分布しない。回腸は中腸由来で、上腸間膜動脈の回腸動脈枝により灌流される。
✗ 3. 誤り
上腸間膜動脈は直腸に分布する。
上腸間膜動脈の分布は十二指腸下部から横行結腸右2/3までで、直腸には到達しない。直腸は上直腸動脈(下腸間膜動脈枝)・中直腸動脈(内腸骨動脈枝)・下直腸動脈(内陰部動脈枝)の3系統から養われる。
✓ 4. 正しい
卵巣動脈は腹大動脈から分枝する。
卵巣動脈は腎動脈起始部のやや下方の高さで腹大動脈側面から左右1対で出る細い動脈である。発生学的に卵巣は当初腎臓の高さで形成され、その後下降して骨盤腔に至るため、動脈は発生部位の高さ(腹大動脈)から起こり卵巣提索の中を通って卵巣に達する。男性の精巣動脈も同じ理由で腹大動脈から出て鼠径管を通り精巣に至る。骨盤内臓を養う内腸骨動脈の枝ではないことが重要な整理点である。
ポイント
  • 気管支動脈=胸大動脈、冠状動脈=上行大動脈、性腺動脈(精巣・卵巣)=腹大動脈と、起始部を区別して覚える。
  • 覚え方のコツ: 「性腺は発生の故郷(腎臓高)から動脈が降りてくる」。下降した臓器でも動脈は起源の高さに残る。
  • 関連知識: 直腸は3動脈の共同支配(上直腸=下腸間膜動脈、中直腸=内腸骨動脈、下直腸=内陰部動脈)で、門脈系(上直腸静脈)と体循環系(中・下直腸静脈)の側副路も重要。
  • よくある間違い: 卵巣動脈を内腸骨動脈の枝と誤る、腹腔動脈が小腸全域を養うと誤る。動脈分布と発生区分の対応を意識する。
  • 臨床応用: 卵巣動脈は手術時の血管結紮対象で、骨盤漏斗靭帯(卵巣提索)内を走るため、子宮全摘時に両側を結紮する必要がある。
比較表
動脈 起始 主な分布
冠状動脈 上行大動脈 心臓
気管支動脈 胸大動脈 肺実質(栄養血管)
食道動脈 胸大動脈 食道
腹腔動脈 腹大動脈 前腸臓器(胃・肝・脾など)
上腸間膜動脈 腹大動脈 中腸(小腸・右半結腸)
下腸間膜動脈 腹大動脈 後腸(左半結腸・直腸上部)
卵巣・精巣動脈 腹大動脈(第2腰椎付近) 卵巣・精巣
解説画像
鍼灸 第18回(2010) 問題23|胸腹部の動脈について正しい記述はどれか。 解説図
鍼灸 第18回(2010) 問題23|胸腹部の動脈について正しい記述はどれか。
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