学習トップ理由で解く 解剖学第2章 ▸ D. 静脈系 / Q0156

理由で解く 解剖学

Q0156 循環器系

出典:鍼灸 第18回(2010) 問題24
問題
門脈系について下大静脈との側副循環路となるのはどれか。
選択肢
1 膀胱静脈叢
2 前立腺静脈叢
3 子宮静脈叢
4 直腸静脈叢
解答
正解4(直腸静脈叢)
解説
✗ 1. 誤り
膀胱静脈叢
膀胱静脈叢は膀胱周囲に発達する弁を欠く静脈網で、内腸骨静脈へ排液される骨盤内臓の静脈叢である。門脈系とは直接連絡せず、体循環(下大静脈系)内に完結する構造のため、門脈-体循環吻合には関与しない。弁がないためうっ血しやすい点は門脈圧亢進とは無関係。
✗ 2. 誤り
前立腺静脈叢
前立腺静脈叢は前立腺を取り巻き、背側陰茎深静脈の血液も受け入れて内腸骨静脈に注ぐ骨盤内の静脈叢である。椎骨静脈叢(Batson叢)とも連絡し前立腺癌の骨盤骨・脊椎転移路として知られるが、門脈系とは繋がらず側副循環路にはならない。
✗ 3. 誤り
子宮静脈叢
子宮静脈叢は子宮広間膜内で子宮動脈に伴行し、内腸骨静脈に注ぐ骨盤内静脈叢である。卵巣静脈叢や腟静脈叢と交通し、妊娠時には著しく拡張するが、門脈系とは直接吻合を持たないため側副循環路にはなり得ない。
✓ 4. 正しい
直腸静脈叢
直腸静脈叢のうち上直腸静脈は下腸間膜静脈を経て門脈系に、中・下直腸静脈は内腸骨静脈を経て下大静脈系に還流する。この静脈叢で両系統が吻合するため、肝硬変による門脈圧亢進時には門脈血がこの叢を通って下大静脈へ逃げ、拡張した叢が痔核となって痔出血を起こす代表的側副路である。
ポイント
  • 門脈圧亢進時の3大側副路は①食道静脈叢(上大静脈へ)②直腸静脈叢(下大静脈へ)③臍傍静脈(上下大静脈の皮静脈へ)。
  • 覚え方のコツ: 「食道・直腸・臍(へそ)」の3ヶ所と唱える。下大静脈へつながる側副路は直腸静脈叢、と選択肢問題では即答する。
  • 関連知識: 骨盤内臓の静脈叢(膀胱・前立腺・子宮)は弁を欠きうっ血しやすいが、いずれも内腸骨静脈→下大静脈の体循環系だけで完結し、門脈とは接続しない。
  • よくある間違い: 骨盤の静脈叢=門脈の側副路と短絡的に考える。「叢=側副路」ではなく、門脈と体循環の両方に排液する叢だけが側副路になる。
  • 臨床応用: 肝硬変患者の痔出血は門脈圧亢進の徴候で、内視鏡的結紮術や降圧薬(βブロッカー)で門脈圧管理が行われる。食道静脈瘤の破裂は大量吐血・死亡の重大合併症。
比較表
側副路 門脈側ルート 体循環側ルート 臨床徴候
食道静脈叢 胃左静脈→門脈 食道静脈→奇静脈→上大静脈 食道静脈瘤・吐血
直腸静脈叢 上直腸静脈→下腸間膜静脈→門脈 中下直腸静脈→内腸骨静脈→下大静脈 痔核・痔出血
臍傍静脈 門脈左枝 腹壁皮静脈→上下大静脈 メデューサの頭
解説画像
鍼灸 第18回(2010) 問題24|門脈系について下大静脈との側副循環路となるのはどれか。 解説図
鍼灸 第18回(2010) 問題24|門脈系について下大静脈との側副循環路となるのはどれか。
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