
この図の解説
図は膀胱内面を覆う移行上皮のHE染色像である。表層に丸みを帯びた大きな細胞が並び、深部に向かって小さな細胞が積み重なって、一見すると重層上皮のように見える。しかし移行上皮の本質は、器官の内腔の容積変化に応じて層をつくる細胞の数が変化する点にある。尿が充満して膀胱が伸展すると細胞層は薄く扁平に引き伸ばされ、空虚になると細胞が厚く盛り上がる。この伸縮性が、尿の貯留という機能に直結する。図の吹き出しが示すように、見かけは重層でも全ての細胞が突起を伸ばして基底膜に接しているのが特徴で、これが「移行」と呼ばれる所以である。分布部位は腎杯・腎盂・尿管・膀胱の尿路であり、必ず4点セットで覚えておきたい。
学習の要点
- 移行上皮は尿の充満度に応じて層の厚さ(細胞の重なりの数)が変化する伸縮性に富む上皮である。
- 覚え方のコツ: 分布部位は「腎杯・腎盂・尿管・膀胱」の4点セット。関連するものをカタマリで覚えるチャンク化が有効。
- 関連知識: 単層扁平上皮は血管・リンパ管の内腔、単層円柱上皮は腸、重層扁平上皮は皮膚の表面、多列線毛上皮は鼻腔・気管に分布する。
- よくある間違い: 見かけが重層なので重層上皮と誤りやすいが、全ての細胞が基底膜に接している点で真の重層とは異なる。多列上皮も同様に「一見重層」に見える。
- 臨床応用: 尿路(腎盂・尿管・膀胱)に発生する悪性腫瘍の多くは、この移行上皮(尿路上皮)に由来する。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
移行上皮では、器官の内腔の容積変化に応じて、層をつくる( )の数が変化する。空欄に入る語を答えよ。
答えを見る
答え: 細胞
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。