学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §15 各論(骨折) 頭部・体幹 / QJ34P073

理由で解く 柔道整復師

QJ34P073 柔道整復理論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問73
問題
眼窩底破裂骨折の合併症で誤っているのはどれか。
選択肢
1 顎関節脱臼
2 視神経障害
3 視束管骨折
4 脳しんとう
解答
正解1(顎関節脱臼)
解説

顎関節脱臼は眼窩底破裂骨折の合併症として挙がらない。受傷機転が眼球への直達外力である点を押さえれば、どこに損傷が及ぶかで判断できる。

眼窩底破裂骨折(ブローアウト骨折)は、拳やボールなど眼球より大きい鈍体が眼窩に当たり、眼窩内圧が急激に高まって、最も薄い眼窩底(上顎洞の天井)が下方へ吹き抜けるように折れるものである。壊れる先が眼窩底なので、合併するのは眼窩内容とその近傍の構造の障害になる。下直筋や下斜筋、周囲の脂肪組織が骨折部に挟まると上方視で複視が出て、眼球運動が制限される。眼窩下神経が傷つけば頬部から上唇にかけてしびれが出る。さらに、同じ外力が眼窩深部や頭部にも及べば、視神経の障害や視束管の骨折、脳しんとうを合併しうる。一方、顎関節脱臼は下顎への外力や大開口によって下顎頭が関節結節を越えて前方に外れるもので、力の加わる場所も壊れる構造もまったく別である。複視や視力低下、頬部のしびれを認めたら、その場での整復を試みず、直ちに眼科・口腔外科などへ搬送する。

✓ 1. これが合併症ではない(正答)
顎関節脱臼
顎関節脱臼は下顎への外力や大開口で下顎頭が前方へ外れるもので、眼窩内圧上昇によって眼窩底が折れる本骨折とは受傷機転も損傷部位も異なる。合併症として挙げられない。
✗ 2. 合併しうる(答えではない)
視神経障害
眼窩深部にまで外力が及べば視神経が損傷され、視力低下や視野障害を来しうる。視力の訴えがあれば緊急性が高い。
✗ 3. 合併しうる(答えではない)
視束管骨折
眼窩尖部に力が伝われば視束管(視神経管)の骨折を合併し、管内で視神経が圧迫される。速やかな専門医の対応が必要となる。
✗ 4. 合併しうる(答えではない)
脳しんとう
顔面・頭部への強い打撲が受傷機転であるため、同じ外力で脳しんとうを合併しうる。意識状態、健忘、嘔吐の有無を確認する。
ポイント
  • 眼窩底破裂骨折は、眼球より大きい鈍体の衝突で眼窩内圧が急上昇し、薄い眼窩底が下方へ抜けて折れる。
  • 特徴的所見は上方視での複視・眼球運動制限(下直筋などの絞扼)、眼球陥凹、眼窩下神経領域のしびれ。
  • 同一外力による合併として、視神経障害、視束管骨折、脳しんとうが起こりうる。
  • 顎関節脱臼は下顎への外力・大開口が機転で、本骨折の合併症の枠には入らない。
  • 複視・視力低下・意識障害を認めたら、その場で処置を続けず直ちに専門医へ搬送する。
比較表
眼窩底破裂骨折顎関節脱臼
受傷機転眼球への鈍的直達外力による眼窩内圧の急上昇下顎への外力、あくびなどの大開口
壊れる場所眼窩底(上顎洞天蓋)顎関節(下顎頭が関節結節を越える)
主な所見複視、眼球運動制限、眼球陥凹、頬部のしびれ開口位固定、閉口不能、下顎の前方突出
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。