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理由で解く 柔道整復師

QJ34P010 衛生学・公衆衛生学

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問10
問題
芽胞を有する細菌に効果のある消毒薬はどれか。
選択肢
1 過酢酸
2 消毒用エタノール
3 ポビドンヨード
4 クロルヘキシジン
解答
正解1(過酢酸)
解説

芽胞をもつ細菌にまで効果が及ぶのは高水準消毒薬の過酢酸である。消毒用エタノール、ポビドンヨード、クロルヘキシジンはいずれも芽胞に無効である。

芽胞は、破傷風菌、ボツリヌス菌、ウェルシュ菌、クロストリジオイデス・ディフィシル、セレウス菌、炭疽菌などが環境の悪化に備えてつくる耐久型で、厚い被膜と低い含水率のために熱にも薬剤にも強い。消毒薬は抗微生物スペクトルによって高水準・中水準・低水準に分けられ、芽胞にまで作用が及ぶのは高水準のグルタラール・フタラール・過酢酸と、高濃度・長時間作用させた次亜塩素酸ナトリウムに限られる。過酢酸は強い酸化作用で微生物の蛋白質や核酸を障害し、熱に耐えられない内視鏡などの器材の高水準消毒に用いる(人体には使用しない)。芽胞を確実になくしたいなら消毒ではなく滅菌の領域で、高圧蒸気滅菌(121℃・20分)が第一選択となる。臨床では、C. difficile が疑われる場面でアルコール擦式消毒だけに頼らず、流水と石けんで物理的に洗い流し、環境は次亜塩素酸ナトリウムで清拭する、という手順の使い分けが実践上の答えになる。

✓ 1. 正しい
過酢酸
高水準消毒薬で、酸化作用により栄養型の細菌・結核菌・真菌・ウイルスに加えて芽胞にも有効。器材用として内視鏡の再処理などに用いられる。金属腐食性と刺激臭があるため、換気と防護具の使用、器材の材質確認が必要になる。
✗ 2. 誤り
消毒用エタノール
中水準消毒薬。一般細菌、結核菌、多くのウイルスには有効で速乾性があり手指衛生の主役だが、芽胞には無効である。刺激と疼痛のため粘膜や損傷皮膚には使用しない。芽胞が問題になる場面では流水と石けんによる手洗いに切り替える。
✗ 3. 誤り
ポビドンヨード
中水準消毒薬。エタノールと違って粘膜にも使用でき、皮膚・粘膜の消毒や術野消毒に広く用いられるが芽胞には無効である。血液や膿などの有機物があると効果が落ちるため、汚染部位はまず洗浄してから使用する。
✗ 4. 誤り
クロルヘキシジン
低水準消毒薬。一般細菌には有効だが芽胞や結核菌には無効である。粘膜への使用でアナフィラキシーの報告があるため、添付文書に定められた使用部位と濃度を守る。
ポイント
  • 芽胞に有効=グルタラール・フタラール・過酢酸(高水準)、および高濃度の次亜塩素酸ナトリウム
  • 芽胞に無効=消毒用エタノール、ポビドンヨード、クロルヘキシジン、第四級アンモニウム塩
  • 同じ中水準でも適用部位が違う。消毒用エタノールは粘膜・損傷皮膚には使用しない/ポビドンヨードは皮膚にも粘膜にも使える
  • 芽胞を形成する菌=破傷風菌、ボツリヌス菌、ウェルシュ菌、C. difficile、セレウス菌、炭疽菌
  • 確実に芽胞を除くのは滅菌の領域。高圧蒸気滅菌(オートクレーブ 121℃・20分)が基本
  • C. difficile 対策は流水と石けんでの手洗い+次亜塩素酸ナトリウムによる環境清拭
  • 高水準消毒薬は器材用で人体には使わない。換気と防護具の使用が必須
比較表
水準代表的な薬剤芽胞結核菌主な用途
高水準グルタラール、フタラール、過酢酸有効(長時間)有効器材(内視鏡など)。人体には不可
中水準次亜塩素酸ナトリウム高濃度・長時間で有効有効環境、器具、汚物処理
中水準消毒用エタノール無効有効手指・皮膚(粘膜・損傷皮膚には使用しない)
中水準ポビドンヨード無効有効皮膚・粘膜、術野消毒
低水準クロルヘキシジン、第四級アンモニウム塩無効無効手指、皮膚、環境(粘膜への使用はアナフィラキシーに注意)
(参考)滅菌高圧蒸気滅菌、EOG、過酸化水素低温プラズマ死滅死滅器材の滅菌
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