学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §2 運動器の構造と機能 / QJ34A108

理由で解く 柔道整復師

QJ34A108 運動学

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午前 問108
問題
正常成人の四肢末梢運動神経の伝導速度はどれか。
選択肢
1 約 50cm/sec
2 約5m/sec
3 約 50m/sec
4 約 200m/sec
解答
正解3(約 50m/sec)
解説

正常成人の四肢末梢運動神経の伝導速度は約50 m/秒である。太い有髄線維(Aα)による跳躍伝導がこの速さを生む。

運動神経の本体は直径12〜20 μmの太い有髄線維(Aα)で、髄鞘のすきま(ランヴィエ絞輪)を興奮が跳び越えて伝わる跳躍伝導のため、速度は線維の直径にほぼ比例して大きくなる。ここで、伝導速度には性格の異なる2種類の数字があることを分けて覚えたい。ひとつは線維分類の代表値で、Aα線維は約70〜120 m/秒とされる。もうひとつは臨床の神経伝導検査で実測される四肢運動神経の値で、上肢でおよそ50〜60 m/秒、下肢でおよそ40〜50 m/秒である。国家試験で問われるのは後者であり、桁は「数十 m/秒」と押さえておけばよい。実測値がこの範囲を大きく下回るときは髄鞘が傷む脱髄性の障害を疑う。選択肢を見るときは、まず単位(cmかmか)と桁を確認する習慣をつけると取り違えを防げる。

✓ 3. 正しい
約 50m/sec
四肢の運動神経伝導速度として実測される標準的な値。太い有髄線維の跳躍伝導によるもので、上肢で約50〜60 m/秒、下肢で約40〜50 m/秒という臨床データと一致する。
✗ 1. 誤り
約 50cm/sec
0.5 m/秒に相当し、髄鞘をもたないC線維(約0.5〜2 m/秒)と同じ桁の遅さである。有髄で太いAα線維である運動神経の値ではない。単位がcmになっている点に気づけば除外できる。
✗ 2. 誤り
約5m/sec
細い有髄線維(B線維や遅いAδ線維)でみられる程度の速度で、運動神経としては1桁遅い。もし実測でこの値なら重度の脱髄を示す異常値となる。
✗ 4. 誤り
約 200m/sec
ヒトの神経で最も速いAα線維でも約120 m/秒が上限とされ、生体で到達しない速度である。桁が1つ大きい選択肢として除外する。
ポイント
  • 四肢末梢運動神経の伝導速度は約50 m/秒(臨床の実測値で上肢50〜60、下肢40〜50 m/秒)。国試で問われるのはこの値。
  • 線維分類の代表値(Aα 約70〜120 m/秒)と、臨床の神経伝導検査で実測する四肢運動神経の値は別の数字として覚える。
  • 速さの理由は「太い有髄線維(Aα)+跳躍伝導」。直径が太いほど、髄鞘があるほど速い。
  • 無髄のC線維は約0.5〜2 m/秒。遅い痛みや温覚、自律神経節後線維を担う。
  • 伝導速度の低下=脱髄性障害、振幅の低下=軸索障害、という読み分けが神経伝導検査の基本。
  • 選択肢の単位(cm/秒とm/秒)と桁をまず確認すると、ひっかけを避けられる。
比較表
線維の種類髄鞘直径の目安伝導速度の目安担う情報
有髄(太い)12〜20 μm約70〜120 m/秒骨格筋の運動、筋紡錘(Ia)・腱紡錘(Ib)
有髄5〜12 μm約30〜70 m/秒触圧覚
有髄(細い)2〜5 μm約12〜30 m/秒速い(鋭い)痛み、冷覚
B有髄3 μm 以下約3〜15 m/秒自律神経節前線維
C無髄0.4〜1.2 μm約0.5〜2 m/秒遅い(鈍い)痛み、温覚、自律神経節後線維

※上表は神経線維分類(Erlanger-Gasser)の代表値。臨床の神経伝導検査で実測される四肢運動神経の伝導速度はこれとは別の数字で、上肢約50〜60 m/秒、下肢約40〜50 m/秒。本問で問われているのは後者である。

この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。