学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §2 医療過誤とリスクマネジメント / QJ34A041

理由で解く 柔道整復師

QJ34A041 必修問題

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午前 問41
問題
医療過誤はどれか。
選択肢
1 患者が病院内の廊下で転倒した。
2 患者が注射用量の取違えで死亡した。
3 看護師が投薬前に薬剤の取違えに気が付いた。
4 医師が個人情報を漏洩した。
解答
正解2(患者が注射用量の取違えで死亡した。)
解説

医療過誤とは、医療事故のうち医療従事者の過失(注意義務違反)によって患者に被害が生じたものをいう。注射用量の取違えで患者が死亡した2が該当する。

医療事故は、医療の全過程で発生した人身事故の総称で、過失の有無を問わず、患者の転倒から医療従事者自身の針刺しまで含む広い概念である。この医療事故のうち、①医療従事者に注意義務違反(過失)があり、②患者に損害が生じ、③その両者に因果関係がある、という3つがそろったものが医療過誤で、民事上の損害賠償責任や業務上過失致死傷の対象となりうる。一方、誤りが患者に到達する前に発見・回避された事例はインシデント(ヒヤリ・ハット)と呼ばれ、損害が生じていない以上、過誤には当たらない。選択肢は「過失があるか」「実害が生じたか」の2軸で仕分けると迷わない。

✓ 2. 正しい
患者が注射用量の取違えで死亡した。
用量の確認を怠った点に注意義務違反があり、その結果として死亡という重大な損害が生じている。過失・損害・因果関係の3要件がそろうため、医療過誤に当たる。再発防止としては、指示書との照合、複数人での確認、投与直前の患者・薬剤・用量・経路・時間の確認を手順として定めて運用する。
✗ 1. 誤り
患者が病院内の廊下で転倒した。
院内で起きた人身事故なので医療事故には含まれるが、医療行為に伴う過失があったとの記載がないため、この記述だけでは医療過誤とは判断できない。実務では転倒転落のリスクを評価し、危険度に応じて環境整備や見守り、履物・照明の調整を計画する。
✗ 3. 誤り
看護師が投薬前に薬剤の取違えに気が付いた。
誤りが患者に届く前に発見され、実害が生じていない。これはインシデント(ヒヤリ・ハット)であり、過誤の要件である損害を欠く。報告書を提出して要因を共有し、次の重大事故を防ぐ材料として活かすことが望ましい。
✗ 4. 誤り
医師が個人情報を漏洩した。
守秘義務違反として法的責任を問われうる行為だが、診療行為上の過失によって患者の生命・身体に被害が生じたものではないため、医療過誤の枠組みには入らない。判明した場合は速やかに管理者へ報告し、本人への説明と再発防止策の実施につなげる。
ポイント
  • 医療事故は「医療の全過程で起きた人身事故すべて」。過失の有無も、被害者が患者か職員かも問わない
  • 医療過誤は医療事故の一部分。過失(注意義務違反)・損害・因果関係の3要件がそろったもの
  • 患者に届く前に止まった誤りはインシデント(ヒヤリ・ハット)。実害がないので過誤ではない
  • 守秘義務違反は法的責任を生じるが、身体的被害を伴わなければ医療過誤とは別に扱う
  • ハインリッヒの法則(重大事故1:軽微な事故29:ヒヤリ・ハット300)から、インシデント報告が事故防止の要になる
比較表
区分過失の有無被害の発生本問での例
医療事故問わないあり(被害者は患者とは限らず、医療従事者の場合もある)病院内の廊下での転倒
医療過誤ありあり(患者に損害。因果関係も必要)注射用量の取違えによる死亡
インシデント(ヒヤリ・ハット)あり得るなし(患者に到達せず未然に回避)投薬前に取違えに気付いた
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