学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ33P078

理由で解く 柔道整復師

QJ33P078 柔道整復理論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問78
問題
上腕骨顆上伸展型骨折で正しいのはどれか。
選択肢
1 高齢者に多い。
2 上腕長は短縮する。
3 腫脹は次第に出現する。
4 ヒューター線は乱れる。
解答
正解2(上腕長は短縮する。)
解説

上腕骨顆上骨折の伸展型は学童期に多く、遠位骨片が後上方へ転位するため上腕長が短縮する。正しいのは2である。

転倒して手をつき肘が過伸展されることで、骨幹端の薄い顆上部が折れる。遠位骨片は後方かつ近位へ移動するため、遠位骨片に含まれる上腕骨外側上顆も近位へ引き上げられ、肩峰(肩峰外側端)から上腕骨外側上顆までの距離、すなわち上腕長が短縮する。一方、前腕長(外側上顆〜橈骨茎状突起)は骨折線より遠位の骨に変化がないため保たれる。この「上腕長は短縮、前腕長は正常」という組合せが、前腕長が短縮してみえる肘関節後方脱臼との鑑別点になる。なお肘頭も遠位骨片とともに後上方へ移動して高位となるが、肘頭は前腕長側の基準点であって上腕長の計測点ではない。出血・腫脹が強く、上腕動脈や正中神経が圧迫されてフォルクマン拘縮に至る危険があるため、橈骨動脈の拍動、手指の自動運動と感覚、爪床の色調を初診時から繰り返し確認し、異常があれば直ちに医療機関へつなぐ。

✗ 1. 誤り
高齢者に多い。
顆上骨折は5〜10歳前後の学童に最も多い骨折である。高齢者が手をついて転倒した際に多いのは橈骨遠位端骨折や上腕骨外科頸骨折で、年齢層が異なる。
✓ 2. 正しい
上腕長は短縮する。
遠位骨片が後上方へ転位すると、そこに含まれる上腕骨外側上顆も近位へ移動するため、肩峰外側端から外側上顆までの距離(上腕長)が短縮する。前腕長(外側上顆〜橈骨茎状突起)は保たれるので、前腕長が短縮してみえる肘関節後方脱臼と測り分けられる。肘頭も遠位骨片とともに高位となるが、これは肘頭の位置異常であって上腕長の計測点ではない。
✗ 3. 誤り
腫脹は次第に出現する。
受傷直後から急速かつ高度に腫脹するのが特徴で、水疱を形成することもある。徐々に出るのではないからこそ、初期から循環障害を警戒して観察を続ける。
✗ 4. 誤り
ヒューター線は乱れる。
骨折線は肘関節の外(顆上部)にあり、内側上顆・外側上顆・肘頭の三点はいずれも遠位骨片側として一緒に移動するため、その位置関係(伸展位でヒューター線、屈曲位でヒューター三角)は保たれる。この関係が乱れるのは肘関節後方脱臼である。
ポイント
  • 伸展型顆上骨折は学童に好発。手をついて肘が過伸展されて受傷する。
  • 上腕長の計測点は肩峰(肩峰外側端)〜上腕骨外側上顆、前腕長は外側上顆〜橈骨茎状突起。
  • 遠位骨片は後上方へ転位 → 外側上顆が近位へ移動して上腕長は短縮、前腕長は正常。
  • 肘頭は遠位骨片とともに高位となるが、ヒューター線・ヒューター三角は保たれる(乱れるのは肘関節後方脱臼)。
  • 腫脹は受傷直後から高度。上腕動脈・正中神経の障害からフォルクマン拘縮に至りうる。
  • 橈骨動脈拍動、手指の自動運動、感覚、爪床の色を繰り返し確認し、異常時は直ちに医療機関へ。
比較表
所見上腕骨顆上伸展型骨折肘関節後方脱臼
好発年齢学童(5〜10歳前後)青壮年に多い
上腕長(肩峰外側端〜外側上顆)短縮する正常
前腕長(外側上顆〜橈骨茎状突起)正常短縮してみえる
ヒューター線・三角保たれる乱れる
肘頭の位置高位(上方)後方へ突出
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