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理由で解く 柔道整復師

QJ33P014 リハビリテーション医学

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問14
問題
CTではやや低吸収域、MRI 拡散強調画像では鮮明な高信号域として描出される脳病巣はどれか。
選択肢
1 新しい脳出血
2 古い脳出血
3 新しい脳梗塞
4 古い脳梗塞
解答
正解3(新しい脳梗塞)
解説

CTで「やや低吸収」にとどまるのに、MRI拡散強調像(DWI)では鮮明な高信号——このズレが出るのは発症間もない脳梗塞である。正答は3。

脳血流が途絶えると、まずNa⁺/K⁺ポンプが止まって細胞外の水が細胞内へ移動する(細胞性浮腫)。細胞内に閉じ込められた水分子は自由に動けないため拡散が制限され、DWIは発症後数十分〜数時間という早い段階から明瞭な高信号を示す(ADC値は低下する)。一方CTが写しているのは病巣組織の含水量が増えることによるX線吸収値の低下である。ところが超急性期に起きているのは細胞外から細胞内へ水が移動する「再分布」にすぎず、虚血に陥った組織そのものの総含水量はまだほとんど増えていない(正味の水分量が増えるのは、血液脳関門が破綻して血管性浮腫が加わる数時間〜数日後)。そのためCTでは、レンズ核の輪郭が不明瞭になる、皮質と白質の境界が甘くなる、脳溝が浅くなるといった「言われて初めて分かる程度のやや低吸収」にとどまる。つまりCTは鈍く、DWIは鋭いのが新しい脳梗塞の特徴で、これが急性期にDWIを撮る根拠になっている。出血かどうかはCTが即答してくれるので、実際の初期対応では「CTで出血を否定し、MRI(DWI)で梗塞を拾う」という順で進める。

✗ 1. 誤り
新しい脳出血
出血直後の血腫はヘモグロビン蛋白が凝集して密度が高く、CTでは周囲脳実質より明るい高吸収域(白)として写る。設問の「やや低吸収域」と正反対であり、この時点で除外できる。CTが出血の検出に強いのはこの性質による。
✗ 2. 誤り
古い脳出血
時間が経つと血腫は吸収されて最終的に嚢胞状の低吸収域になるため、CT所見だけなら似て見えることがある。しかし細胞性浮腫はとうに消えており水分子は自由に拡散できるので、DWIで鮮明な高信号にはならない。加えて壁にヘモジデリンが沈着するため、T2*強調像やSWIで低信号(黒い縁取り)を残すのが古い出血の目印になる。
✓ 3. 正しい
新しい脳梗塞
細胞性浮腫による拡散制限でDWIは早期から鮮明な高信号を示す一方、CTでは早期虚血変化としての淡い低吸収にとどまる。設問の「CTではやや低吸収域、DWIでは鮮明な高信号域」という組み合わせに過不足なく一致する。
✗ 4. 誤り
古い脳梗塞
陳旧性梗塞は壊死組織が吸収されて軟化巣(嚢胞)となり、CTでは脳脊髄液に近いはっきりした低吸収域を示す。「やや」ではなく「明瞭に」低い点がまず合わない。またDWIでは拡散制限が解除されて等信号〜低信号となるため、鮮明な高信号という条件も満たさない。
ポイント
  • DWIの高信号=拡散制限=細胞性浮腫。急性期脳梗塞を発症数十分〜数時間で検出できる最大の武器。ADC値は低下する。
  • CTの吸収値は組織の密度・水分量を反映する。出血は高吸収(白)、梗塞は低吸収(黒)が大原則。
  • 細胞性浮腫は細胞外→細胞内への水の移動であり、病巣組織の総含水量はまだ増えない。だから超急性期のCTは「やや」低吸収にとどまる。正味の水分増加は血管性浮腫が加わってから。
  • 急性期梗塞のCT早期虚血変化=レンズ核の不明瞭化、島皮質の不鮮明化、皮髄境界の消失、脳溝の狭小化。
  • 陳旧性病変はCTで明瞭な低吸収(軟化巣)だが、DWIでは高信号にならない——「新しいか古いか」を分けるのはDWIと覚える。
  • 実地では「CTで出血を否定 → MRI(DWI)で梗塞を確定」の順。血栓溶解療法の適応判断に直結する。
比較表
病巣CTMRI 拡散強調像(DWI)成り立ち
新しい脳出血明瞭な高吸収血腫の時期で信号が変化し、一定しない凝集したヘモグロビン蛋白が高密度
古い脳出血低吸収(嚢胞化)鮮明な高信号にはならない血腫が吸収され、壁にヘモジデリンが残る
新しい脳梗塞やや低吸収(早期虚血変化)鮮明な高信号(ADC低下)細胞性浮腫で水分子の拡散が制限される
古い脳梗塞明瞭な低吸収(軟化巣)等信号〜低信号壊死組織が吸収され、水が自由に拡散する
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