学習トップ理由で解く 柔道整復師衛生学・公衆衛生学 ▸ §1 健康の保持増進と疾病予防 / QJ33P002

理由で解く 柔道整復師

QJ33P002 衛生学・公衆衛生学

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問2
問題
プライマリヘルスケアが提唱されたのはどれか。
選択肢
1 アルマ・アタ宣言
2 オタワ憲章
3 モントリオール議定書
4 リオデジャネイロ宣言
解答
正解1(アルマ・アタ宣言)
解説

プライマリヘルスケア(PHC)は、1978年に旧ソ連・アルマアタ(現カザフスタン・アルマトイ)で開かれたWHO・UNICEF合同会議で採択されたアルマ・アタ宣言で提唱された。正解は1。

当時、高度な病院医療は都市の一部にしか届かず、途上国では下痢・肺炎・感染症といった「防げるはずの死」が大量に起きていた。そこでアルマ・アタ宣言は「2000年までにすべての人に健康を(Health for All by the Year 2000)」を掲げ、住民が住む場所で、住民が負担できる費用で、住民自身が参加して受ける第一線の保健活動=PHCを、目標達成の鍵と位置づけた。PHCの原則は、①住民のニーズに基づくこと、②地域資源の有効活用、③住民の主体的参加、④保健以外の分野(農業・教育・水道など)との協調、の4つで整理される。必須活動には健康教育、適正な栄養と食糧供給、安全な水と基本的環境衛生、母子保健・家族計画、主要感染症への予防接種、地方流行病対策、日常的な疾病・外傷の治療、必須医薬品の供給が挙げられている。この分野の設問は「宣言・憲章の名前と、そこで打ち出された概念・年・場所」をひも付けて覚えると確実に得点できる。

✓ 1. 正しい
アルマ・アタ宣言
1978年、WHOとUNICEFの合同会議で採択された宣言で、PHCの定義・原則・必須活動を明文化した。「健康は基本的人権であり、その到達は保健分野だけでなく社会・経済分野の課題でもある」と述べ、住民参加と多分野協調を柱に据えた点が最大の特徴である。PHCと聞いたら反射的に「アルマ・アタ/1978年/Health for All」と出てくるようにしておきたい。
✗ 2. 誤り
オタワ憲章
1986年にカナダ・オタワで開かれた第1回ヘルスプロモーション国際会議で採択され、ヘルスプロモーションを提唱した文書である。オタワ憲章はこれを「人々が自らの健康をコントロールし、改善することができるようにするプロセス」と定義し、健康を目的ではなく日々の生活の資源ととらえた。なお「健康とその決定要因をコントロールし」と、健康を左右する社会的・環境的な決定要因まで含める形に定義が広げられたのは2005年のバンコク憲章であり、オタワ憲章の文言ではない点に注意する。PHCの発展形として先進国の生活習慣病対策にもつながる概念だが、PHCそのものを提唱した文書ではない。両者は年代(1978と1986)と都市名で切り分けて覚えるとよい。
✗ 3. 誤り
モントリオール議定書
1987年に採択された「オゾン層を破壊する物質に関する議定書」で、1985年のウィーン条約を実行に移すため、特定フロン(CFC)やハロンなどの生産・消費を段階的に削減・全廃する具体的な規制を定めたものである。扱うのはオゾン層保護という地球環境問題であり、保健医療サービスの提供体制を論じた文書ではない。「モントリオール=フロン・オゾン層」と地球環境の枠で覚えておくと混同しない。
✗ 4. 誤り
リオデジャネイロ宣言
1992年にブラジル・リオデジャネイロで開催された国連環境開発会議(地球サミット)で採択された宣言で、持続可能な開発の理念を27の原則にまとめたものである。同時にアジェンダ21が採択され、気候変動枠組条約と生物多様性条約が署名された。環境と開発の両立を打ち出した重要文書だが、PHCの提唱とは別系統である。「リオ=地球サミット・持続可能な開発」で押さえておきたい。
ポイント
  • プライマリヘルスケアの提唱=アルマ・アタ宣言(1978年、WHO・UNICEF合同会議)。標語は「2000年までにすべての人に健康を」。
  • PHCの4原則は、住民のニーズに基づくこと・地域資源の有効活用・住民の主体的参加・他分野との協調。「住民が主役」がキーワード。
  • ヘルスプロモーションの提唱=オタワ憲章(1986年)。PHCと年代・都市名でセット暗記する。
  • オタワ憲章の定義は「人々が自らの健康をコントロールし、改善することができるようにするプロセス」。「健康とその決定要因」まで含める拡張定義は2005年のバンコク憲章のもので、オタワ憲章の文言ではない。
  • モントリオール議定書(1987年・オゾン層/フロン規制)とリオデジャネイロ宣言(1992年・持続可能な開発)は地球環境系。保健医療の理念とは別枠で整理する。
  • この系統は「文書名 → 打ち出された概念 → 年・開催地」の3点セットで縦に並べて覚えると、選択肢がどう入れ替わっても対応できる。
比較表
文書開催地・主催打ち出された概念分野
アルマ・アタ宣言1978年アルマアタ/WHO・UNICEFプライマリヘルスケア、Health for All保健医療
オタワ憲章1986年オタワ(カナダ)/WHOヘルスプロモーション(自らの健康をコントロールし改善できるようにするプロセス)保健医療
バンコク憲章2005年バンコク(タイ)/WHOヘルスプロモーションの定義を「健康とその決定要因のコントロール」へ拡張保健医療
モントリオール議定書1987年モントリオール(カナダ)/UNEP特定フロン等の規制、オゾン層保護地球環境
リオデジャネイロ宣言1992年リオデジャネイロ(ブラジル)/国連環境開発会議持続可能な開発(アジェンダ21)地球環境
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