学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §5 循環障害 / QJ33A121

理由で解く 柔道整復師

QJ33A121 病理学概論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午前 問121
問題
低張性脱水をきたすのはどれか。
選択肢
1 大量の発汗
2 起立性の低血圧
3 尿崩症による多尿
4 運動後の水道水大量摂取
解答
正解4(運動後の水道水大量摂取)
解説

汗で水分と一緒にナトリウムも失った後に、電解質を含まない水道水だけを大量に飲むと、体液のナトリウム濃度が薄まって低張性脱水になります。

脱水は、失われる水とナトリウムのバランスによって3型に分けられる。高張性脱水(水欠乏型)は水の喪失が優位で血漿浸透圧が上がり、細胞内から水が引き出されるため強い口渇と乏尿が前面に出る。低張性脱水(ナトリウム欠乏型)はナトリウムの喪失が優位、あるいは喪失後に真水だけを補ったときに起こり、血漿浸透圧が下がって水が細胞内へ移動するため、循環血液量は減るのに口渇は目立たないという特徴がある。等張性脱水(混合型)は出血や嘔吐・下痢のように水と電解質を同じ割合で失う型。低張性脱水では頭痛・悪心・倦怠感・こむら返りが出て、進行すると脳浮腫による意識障害やけいれんに至る。運動時の水分補給では、水だけでなくナトリウムを含むスポーツドリンクや経口補水液を選び、こまめに分けて摂ることが予防になる。

✓ 4. 正しい
運動後の水道水大量摂取
発汗でナトリウムも失われているところへ、電解質をほとんど含まない水を大量に入れると血中ナトリウム濃度がさらに薄まる。血漿浸透圧が下がって水が細胞内へ移動し、低張性脱水(低ナトリウム血症)となる。運動関連低ナトリウム血症、いわゆる水中毒がこれにあたり、頭痛・悪心・けいれんが警告サインになる。
✗ 1. 誤り
大量の発汗
汗は血漿より薄い低張液なので、ナトリウムより水の喪失が相対的に大きくなる。補給が追いつかなければ血漿浸透圧が上がり、高張性脱水に傾く。強い口渇が出るのが特徴。
✗ 2. 誤り
起立性の低血圧
循環血液量が減った結果として現れる所見であり、脱水を引き起こす原因ではない。どの型の脱水でも起こりうるため、脱水の型を決める手がかりにもならない。
✗ 3. 誤り
尿崩症による多尿
抗利尿ホルモン(ADH)の分泌不足または腎での作用不全により、電解質をほとんど含まない薄い尿が大量に排泄される。自由水が失われるため血漿浸透圧が上がり、高張性脱水となる。強い口渇と多飲を伴う。
ポイント
  • 高張性脱水(水欠乏型):水の喪失が優位 → 血漿浸透圧上昇。強い口渇。発汗、尿崩症、水分摂取不足。
  • 低張性脱水(Na欠乏型):Naの喪失が優位、または喪失後に真水だけを補給 → 血漿浸透圧低下。口渇は乏しく、倦怠感・頭痛・けいれん。
  • 等張性脱水(混合型):出血・嘔吐・下痢。浸透圧は変わらず循環血液量だけ減る。
  • 低張性脱水では水が細胞内へ移動する。脳が腫れるため意識障害・けいれんが出る点が危険。
  • 運動時は水だけでなく電解質を含む飲料(スポーツドリンク・経口補水液)を、こまめに分けて摂る。
比較表
項目高張性脱水低張性脱水等張性脱水
失われるもの水>NaNa>水水=Na
血漿浸透圧・血清Na上昇低下ほぼ不変
水の移動細胞内→細胞外細胞外→細胞内移動なし
口渇強い乏しい中等度
主な症状乏尿、粘膜乾燥、発熱倦怠感、頭痛、悪心、けいれん、血圧低下循環血液量減少、頻脈、血圧低下
原因の例大量発汗、尿崩症、摂取不足発汗後に水道水のみ大量摂取、利尿薬出血、嘔吐、下痢
補給の考え方水分(自由水)の補給が中心電解質を含む輸液・経口補水液等張輸液で水と電解質を同時に
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